第3話 いつもの昼の屋上はカップルでいっぱい

授業が一旦終わり、昼休みになり、いつも通り朝日に誘われて屋上で食べることになる。

「いくぞ、颯翔。早く行かねーと席とられるぞ。特にカップルとかに…」

おいおい。そりゃそうでしょうが。普通に考えて屋上はカップルにとって一番過ごしやすい場所だからな。

「そもそも、屋上にしたがる理由は何?俺お前とカップルになった覚えはねーぞ?」

「いやいや…え?もしかして颯翔はそっちもいける系なのか?いや確かに今の時代その価値観も受け入れるものだから別におかしくはないがオレの恋愛対象は女だから…」

このバカはまた勝手に話を進めて変なことする。俺の話を聞いて朝日が身体を隠すかのような動きするが、男がやるのはちょっとな…。

「とにかく行くぞ。」

「はいはい。」

俺は朝日の後ろにつくような形で着いていく。多分もうカップルに占領されてるとは思うけどな。屋上の階段を登り、ドアに差し掛かってドアノブに手を伸ばしたところで朝日が振り返る。

「本当にお前、オレのこと……」

「ちげーから!!」

すごい引くような感じで俺を見てくるから速攻否定した。いや別にLGBTとかそう言うのを差別するわけじゃないよ?多分朝日もそれは分かってて、俺と言う友達がそんなイメージだとちょっと受け入れ難いと思ってるだけなのさ。いや待てよ…これ自体がもうダメなのでは?どうしたら…。

「ほら、早くここ座るぞ。」

悶々と考えていると朝日が席を取ってくれた。そこに俺は腰をかけ座る。

「なんか周り相変わらずカップルだらけだな。」

「そりゃそうだろ。大体屋上に誘う時点でこうなるのは目に見えてただろうよ。」

あたりを見渡すとカップルだらけなのがよく分かる。なんか気まずくはあるけど、もう慣れたまである。

「な、あーんとかして食べさせてやろうか?」

「あーさーひ?(圧)」

「冗談です。すいませんでs…ゴルファっ!?」

こんなバカなことを何度も続ける朝日には1発お見舞いをしなければならない。結構いい感じのゲンコツを食らわせてやった。なんか、プシューと気の抜けたような音が出るような感じで必死に頭を抑える朝日を見て満足感がすごい。

「うぅ…。あ、そうだ颯翔。今日オレは部活があるんだけどお前もある?」

「あぁ、ちょっと先輩に呼ばれていてな」

朝日はバスケ部に入っている。なんでもエースと呼ばれるほど実力はすごいらしい。

「ほほぉ…。これはこれはそろそろアレですかね?告白とやらかね〜。」

「朝日…。」

「冗談です。もうゲンコツだけは勘弁。」

確かに何故先輩から呼び出されたのかは謎だ。でも何となく大事なことではあるのだと思う。

「だから、今日は一緒に帰れないな。また今度な。」

「おうよ。何があったのかちゃんと後で教えろよ〜。」

「はいはい。」

俺は適当に答えて弁当を食べ終わる。

そこから先は午後の授業を受け、放課後の時間になる。

「んじゃまた明日な。」

「うん、また明日。」

俺たちはそれぞれ部活に向かって別れた。

俺の所属する部活は3階の空き教室に部室を構えている。

先輩が何故呼び出してきたのか考えながら今から向かうことをlimeで先輩に伝え、部室を目指す。

考えながら階段を登り、教室の前へつく。

俺の所属する部活は、天文学部。いわゆる、星などを観察し、発表する文学部だ。

その部員の1人である俺は今日もまたこの扉を開く。

「失礼します。おつかれ様です、先輩。」

「あぁ、お疲れ様。颯翔くん。」

一つ上の先輩は、窓の外から差し込む夕日の光に照らされ、窓の隙間から入り込む風に髪を揺らされながらこちらを見て微笑んだ。

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