Episode6:スターへイル

 粒子学者と少年がスターシティを目指し進んでいると、ダイナーで受け取ったラジオが何かの放送を受信した。ひどいノイズ混じりだったが、かろうじて聞き取れたのは、スターへイル降星の注意報だった。

 スターへイルとは、寿命を迎えそらを漂う他惑星の欠片が、地表に降り注ぐ現象のことだ。時にシティに被害を出す場合もある。

 放送を聞いた学者は行き先を変更した。着いた先は、最近消灯アウトしたばかりの星領スポットだった。中心にある家屋は死素ポルポに埋もれ始めていたが、崩れた壁の間から中へ入ることができた。



-ここでしばらく雨宿りしよう。

-詳しいですね。

-何がだい?

-迷わずここに着いてたので。

-昼の間はよくあちこちを見て回ってるからね。ここも最近見つけたんだ。

-学者さん、て呼ばれてましたよね。何を研究してるんですか?

-これさ。

死素ポルポを?

-ああ。これから粒子パティを生み出せないかとね。

-じゃあ、その子は。

-いや、この子は研究の成果じゃないよ。どうやってるのかは、聞いてみたいけどね。

-うまくいってないんですか?

-まったくね。でも諦めるつもりはないよ。家族には理解されなかったけどね。

-お見舞いでしたよね。その家族にですか?

-そういうことになるね。…お?降り出したね。

-大丈夫でしょうか?

-この程度なら屋根をぬけてくることはないよ。

-分かるんですか?

-詳しいからね。でも、いつ止むかまではさすがに分からないね。このラジオも黙っちゃったし。

-貸してもらってもいいですか?

-これかい?



-…スターへイルハ、モウマモナクシュウソクスルミトオシデス…

-直りました。

-すごいね、きみ。

-詳しいですから。家族には理解されませんでしたが。

-同じだね。もうすぐか。…ハーブティー飲むかい?味は保証するよ。

-ハーブティーですか。…何か、不思議な香りがしますね。

-特製のものだからね。でも、不思議と落ち着いた気持ちにさせてくれるんだ。

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