Episode4:ニアスポット

 ダークゾーンは、全てを溶かす闇だ。

 星領スタースポットの中で生きるひとがそこに入れば、静かにこの世界から消えることになる。

 痛みや恐怖を抱かせないからこそ、それに注意して生きるのは大変な事だ。

 その闇の中を、コメンタに乗った学者が、アンドンの星灯りに照らされながら進んでいる。-Ruuuuu…と、コメンタが唄のような鳴き声を上げた。どうやらお腹を空かせたようなので、学者はどこか休める場所を探す。

 近くに灯るのは、薄明りの微星領アローンサイズスポットがひとつだけ。どうやら、寿命が尽きかけているようだ。少しの休憩に使うだけなら問題ないだろうと、学者はその星領ニアスポットを目指す。

 そこには先客がいた。

 先客は、一人の少年だった。

 朽ち始めた廃墟の上に、うずくまるように座っていた。



-ねぇきみ。どうしたんだい?

-…。

-申し訳ないけど、横で少し休ませてもらうよ。この子にご飯をあげたいんでね。

-…・。

-ああ、その子かい?名前はアンドンっていうんだ。この子と同じでおとなしいから安心していいよ。

-Ruuuuuuu…

-どこに行くんですか?

-ちょっとスターシティにね。

-この中を?行けるんですか?

-この子たちがいるからね。

-Ruuuuu。

-でもその前に、腹ごしらえが必要だ。

-腹ごしらえ?

-この子たちは済んだから。僕の方がね。きみもどうだい?夜になってからずっとここにいたんだろ?

-…はい。

-近くにいいとこがあるんだ。一緒に行かないかい?

-…。

-このままここで消えるのはしょうがない。そう思ってたんだろ?

-…

-でも、もうそれはできない。僕らが来てしまったからね。

-…。

-星のせいにしてはいけないよ。

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