Episode3:コメンタファーム
そこでは、コメンタの群れが飼われている。
コメンタは、大きな二枚の羽で宙を泳ぐ、平たい身体の生物だ。
とても人懐こく、家族の一員として飼っている者もいる。
ヌーンアワーでは、人や物を運ぶ手段としても重宝されるので、この牧場ではコメンタの貸出しも行っている。
二度目の食事を終えた頃、牧場主は柵を開けてコメンタたちを自由に遊ばせる。
ダークゾーンに入ってもしばらくは平気な体質を持っているので、彼らは遊び場を選ばない。
今回のヌーンアワーが長かったこともあって、コメンタたちもいつもより多くの仕事をすることになった。疲れは簡単には取れそうにない。
★
-そうか。じゃあ、スターシティまでは難しそうだね。
-すまないな。にしても、やっぱり不思議な生き物だな。どうしても、今から行かないと行けないのか?
-そうなんだ。兄のお見舞いに行く。
-お見舞いなのか?
-そうだよ。
-理由は何だ?
-家族に会いに行くのに、理由なんて必要ないだろ?
-…その通りだな。そんなものなくたって良かったんだ。
-うん。とっくに分かってはいたんだよ。
-そうか。ちょっと待ってな。
★
-こいつに乗ってけ。
-この子は確か。
-ああ。俺の家族だ。
-しばらく見ない間に立派になったね。世代はいくつだっけ?
-98世代目の子だ。
-もう結構な年じゃないか。
-まだまだ現役さ。
-本当にいいのかい?
-ああ。連れていってくれ。ただし、条件がひとつある。
-何だい?
-伝えてくれるか。久々に会いたいってさ。
-…分かった。約束するよ。
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