Episode3:コメンタファーム

 中星領コミュニティサイズスポットに納まった小さな牧場。

 そこでは、コメンタの群れが飼われている。

 コメンタは、大きな二枚の羽で宙を泳ぐ、平たい身体の生物だ。

 とても人懐こく、家族の一員として飼っている者もいる。

 ヌーンアワーでは、人や物を運ぶ手段としても重宝されるので、この牧場ではコメンタの貸出しも行っている。

 二度目の食事を終えた頃、牧場主は柵を開けてコメンタたちを自由に遊ばせる。

 ダークゾーンに入ってもしばらくは平気な体質を持っているので、彼らは遊び場を選ばない。

 今回のヌーンアワーが長かったこともあって、コメンタたちもいつもより多くの仕事をすることになった。疲れは簡単には取れそうにない。



-そうか。じゃあ、スターシティまでは難しそうだね。

-すまないな。にしても、やっぱり不思議な生き物だな。どうしても、今から行かないと行けないのか?

-そうなんだ。兄のお見舞いに行く。

-お見舞いなのか?

-そうだよ。

-理由は何だ?

-家族に会いに行くのに、理由なんて必要ないだろ?

-…その通りだな。そんなものなくたって良かったんだ。

-うん。とっくに分かってはいたんだよ。

-そうか。ちょっと待ってな。



-こいつに乗ってけ。

-この子は確か。

-ああ。俺の家族だ。

-しばらく見ない間に立派になったね。世代はいくつだっけ?

-98世代目の子だ。

-もう結構な年じゃないか。

-まだまだ現役さ。

-本当にいいのかい?

-ああ。連れていってくれ。ただし、条件がひとつある。

-何だい?

-伝えてくれるか。久々に会いたいってさ。

-…分かった。約束するよ。

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