第5話 すごいもの
「ここに生誕記念と書かれてるでしょう?ですから、このへその緒は呪物ではなく、昭和の時代に普通に記念品として病院から貰った物でしょう。ご自由に処分できますよ」
「ああ、そうだったのか。ありがとうございました」
「お疲れ様でした。次の方どうぞー」
その人は、しきりに周囲を確認しながら、鞄の中からすごいものを取り出した。
「このすごいものなんですけど」
「なるほど、すごいものですね」
「ええ、すごいものなんです」
「タイプM応援お願いします!」
応援として現れたのは、白衣にヘッドマウントディスプレイを着用し、黒いゴミ袋を持った、外だと不審極まりない職員だ。
「あー、なるほど。これはすごいものですね。凄い貫通力だ、国から補助金が全額でますよ」
そう言ってゴミ袋にすごいものを仕舞って、奥に帰って行った。
「承諾書にサインを頂けたら、手続きは終わりになります」
「そうなんですか、ありがとうございました」
それにしても、あのすごいものは一体何だったのだろうか。すごいものだという事と、すごいものでは無いという事だけは分かる。
おそらくは、すごいものという事だったのだろう。
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