第2話 呪いのタンス
「というわけで、不吉な事が起こる原因はこのタンスで間違い無いんですよ。処分できますか?」
「はい。トラックでそちらまで回収に参ります。料金は回収費を含め、二十万になりますが、お支払い方法はどうされますか?」
「クレジットカード一括でお願いします」
「承りました。2時間ほどでトラックが到着しますので、ご在宅のまま待機をお願いします」
電話を終えたら回収班がトラックに乗り込み、呪物を引き取りに向かう。
引越し屋のように養生するのはもちろんだが、それに加え、御札や清められた縄を巻き込むように梱包し、トラックに積み込んだら前後左右上下あらゆる方向へ動かないよう、ワイヤーと清められた角材で固める。
行きはよいよい帰りは怖いとあるように、呪物を持って帰る時こそが最も危険である。
事前に警察や消防に連絡が行ってるので、帰還時のルートは監視されている。神隠しにあっても、その時は全国に通達が行く仕組みだ。
無事に施設までトラックが帰ってきたようだ。呪物が途中で脱走してたり、すり替わってないか確認が入ったら、検証に移る。
檻の中にタンスを運び入れたら、御札や縄を除去しないまま、外部から観察する。
「ややハウスダスト値が高い以外は問題無し」
「タンスに動き無し」
「室内の異常無し」
観察を無事に終えたら解体場へ搬送する。
人力や手持ち工具では事故が起こる危険性があるので、コンベアで破砕機まで運ばれ、後は自動で粉砕されて出てくる。
粉砕された呪物は棺に入れられ、焼却処理されたのち、灰を壺に入れ安置される。
これで一連の作業は終了だが、最近では破砕時の動画を保存し、依頼者が確認できるサービスを始めた所、非常に好評を頂いている。
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