朝を探して


 私は朝を探している。太陽を求めて、日々空を見上げている。でも空は夜ばっかりで、悲しい出来事や、つらい現実しか、待ち受けていない。暗すぎて泣き出しそうになり、偽物の光に一時の安らぎを得る。

 ならもう、夜も見なくていい。

 夜も、朝も、なにもない。何もない宙ぶらりんの状態で生きていけばいい。


 そんなのダメだって?


 考え方なんて人それぞれなんだからと、私は思う。

 でも世界はそうじゃないらしい。自分の正解を本当の正解にしたいらしい。相手の正解を無理矢理にでも不正解にして、修正液で塗りつぶしたいらしい。塗りつぶし続けた結果、太陽までも消してしまうとは、正直思わなかった。

 でも私もその一人。自分の考え方を相手に押し付けて、正解だと言い張っている。本当は不正解な回答かもしれないのに。

 この回答に赤ペンを用意する先生は誰?神様?何度呼んでも姿を現してくれないあがり症の存在は願い下げです。見えないとこで観察してないで、早く姿を現してください。そして私の回答にハナマルをください。

 ほら、こんな感じで。人は自分の答えた回答に自信を持っている。正解だと言い張る。

 相手にも自慢したくなる。100点満点のテストを親へ見せびらかすように。

 


 私は朝を探し求め、正解を他人にぶつける。

 油性ペンだから消えないよ。消えなくても燃やせばいいって?


 じゃあ、永遠に朝は来ないね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

シュプレヒコール ぱーかー男🧀(ヨシタカシュウキ) @yoshitakashuuki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ