第17話
おっさん、若く見られる①
「ここが中央都市か。今までの街よりも随分と賑やかだ。ちょっと人酔いしそう」
街の門の前。だというのにそこは人で溢れていて、馬車の行列も多かった。
今まで通ってきた街も多かったが、ここはその比ではない。
うっぷ、と口元を抑える洋一に大袈裟だなぁとヨルダが堪える。
「ここまで来れば、命知らずの盗賊団の数も減ることでしょう」
「盗賊だったのか? あれは」
はて? と洋一が首を傾げる。
確かに気配は感じていた。なので全員の足を【隠し包丁】で一時的に殺し、ヨルダとティルネが簡単な魔法でその場に埋めたのだ。
野生動物に襲われてなきゃいいが、ぐらいの心配はしてたが。
そうか、あれが盗賊か。
元の世界の探索者にも似たような存在はいたが、こっちでは白昼堂々と犯行に及ぶのかと少しだけ勉強になった。
「どこかで毛皮の売り手が私たちだとバレたのだろう。私を騎士団長と知って襲いかかるなど愚かな奴らだ」
「単純に知らなかった可能性」
「冒険者ギルドで、こちらのジョブが割れた可能性もあります。恩師殿が料理人、ヨルダ殿が農家。そしてワシが調薬師。そこに騎士が一人なら、カモだと認識なさるのでしょう」
「私一人をどうにかできればいいと考えたか?」
「でしょうな。それ以外が一番厄介だと考えられる想像力が足りなかった。ああ言う連中は肩書きだけで獲物を見極める。そう言う意味では奇襲はこれからも続くでしょう。実際にはエラー判定が出なければ恩師殿はSランク相当。ワシらも魔法使いとしてならAランク近くあると思います」
「うむ。冒険者換算ならそれぐらいが妥当か」
「俺はただの料理人なんだが?」
「ただの料理人は目視だけでワイバーンを殺さないんだ、ヨウイチ殿」
「然り」
「まぁ、師匠は料理の腕もピカイチだからな。そこは疑ってないよ」
「うむ。では私は入場手続きをしてくる。皆はここで待っていてくれ」
門の前で数十分待たされる。
ネタキリーが交渉を終えて案内人を連れてきた。
どうやら部下の人のようだ。
「ではアトハ、後のことは任せた。私は先に詰所に戻る」
「はい、後の案内はお任せください。ティルネ殿からの徴収も抜かりなく」
そこは抜かりあって欲しかったと言う顔を浮かべるティルネ。
ネタキリーの代わりに一行に新顔のアトハが加わった。
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