第12話 鑑定結果が残酷な結果でした。

 月影拓也side

 生徒はそれぞれ並んで鑑定待ちの状態になり、紗矢、真矢、僕は端っこで待っていた。


「……ねえ、たくちゃん」

「うん?」


 真矢は不安そうな表情で拓也に聞く。


「……勝てるよね?」


 真矢は心配そうな表情で拓也の瞳を見る。


「誰かは勝てるでしょ」


 拓也は迷いもなく笑顔で答える。


「……うん、大丈夫だよね」


 真矢は作り笑顔で拓也を見る。


(真矢ちゃんの表情を見る限り勝てないと思っているんだろうな)


拓也は真矢の表情を観察する。


(実際に僕の感覚でも、今の段階では勝てる気がしないんだよな)


 拓也も難しい表情になる。


「お兄ちゃん、お姉ちゃん、難しい顔したり不安そうな表情してどうしたの?」


 紗矢が真矢、拓也に声をかける。


「……ああ、ごめん、なんでもないかな」


 拓也は笑顔で紗矢に言う。 


「大丈夫だよ、誰か一人でも勝てば良いんだから」

「……」


 紗矢の言葉に拓也は難しい表情になる。


(確かに聞いている限りクリアは楽に感じる)


 拓也は考える。


(だが、引っ掛かる部分もある)


 拓也は難しい表情になる。


「たくちゃん、どうしたの?」


 真矢が心配そうな表情で拓也を見る。


「あ、なん!?」


 真矢に拓也の首を冷たい手で触れられる。


「……たくちゃん、


 真矢の瞳から光が消えて拓也の瞳を見る。


「どうして男子側だけダンジョンに飛ばしてふるいにかけたのかなと思って」


 真矢の瞳を見てすぐ答える。


「たくちゃん、自分もその点は気になったんだよね」


 真矢の瞳に光が灯り拓也の首を掴んだ手をはなす。


(男子、女子両方ダンジョンに飛ばしてふるいにかければ相手側も楽になるはずだと考えるんだがな)


 拓也は真剣な表情で回りを見る。


(制限時間も7時間は余裕のある時間なのかな?)


 拓也は時計を見る。


(裏を返せば、7時間でもクリア出来ないと踏んでいるのかな?)


「たくちゃん、そろそろ鑑定出来そうだから行こう」


 真矢は優しい表情で拓也に声をかける。


「うん」


 拓也、真矢、紗矢は鑑定師のところに行く。


「どうも鑑定師です」


 ローブの男が挨拶する。


「それじゃあ、あたしから行くね」


 紗矢が行く。


「それじゃあ、水晶にふれてください」

「はい」


 紗矢は笑顔で水晶にふれると光輝き腕に数字が出始める。


「……」


 紗矢は数字を見る。80、8と表示されている。


「すごいですね」


 男は驚いた表情を見せる。


「え?すごいことなの」


 紗矢もわからない表情になる。


「大体のプレイヤーの初期デッキは50枚~60枚で初期手札は4~6枚です」


 男は話をする。


「へえ、そうなんだ」


 紗矢はわからない様子でうなずく。


「それじゃあ、次は自分が行くかな」


 次は真矢が水晶にふれる。


「君もすごすぎだね」


 男はまた驚いた表情を見せる。


「……」


 真矢の腕には90、8と表示されている。


「まさか、偶然にも2人も強いプレイヤーを鑑定してみつけられるなんて」


 男は黒い笑みを見せる。


(なんだ?あの笑みは?)


 拓也は男の笑みに違和感を感じる。


「たくちゃんも鑑定しないと」


 真矢が声をかける。


「ああ、そうだな」


 拓也も水晶にふれる。


「……え!?」


 拓也の表示は1、1と表示される。


「……とても残念ですがあなたの初期デッキは1枚、初期手札は1枚です」


 拓也は男から残酷な結果を話される。


 


 










 




 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る