第9話 現状確認

 月影拓也side

「……確か30分ぐらい前には体育館にはいたかな」


 紗矢が答える。


(おかしい)


 拓也は違和感を感じた。


「紗矢ちゃん、体育館に入る前にダンジョンの戦いとかは大丈夫だった?」


 拓也は真剣な表情で紗矢を見て質問する。


「お兄ちゃん、ダンジョンってなに?」

「え?」


 拓也はとまどった表情をする。


「……お兄ちゃん、何があったの?」


 紗矢は散らばったカードを見ながら拓也に言う。


「僕が体育館に入ったらダンジョンに飛ばされてカードでの戦いが始まったんだ」


 拓也はあったことを話す。


「ケガは大丈夫?」


 紗矢ちゃんは真剣な表情で近づき拓也の瞳を見る。


「……なんとか、大丈夫だったよ」


 拓也は笑顔を見せて紗矢に話をする。


「良かった」


 紗矢は安心した表情を見せる。


「紗矢は体育館に来た時は何もなく来れたんだね」


 拓也は紗矢の目を見る。


「うん、何もなく来れたね」


 紗矢は答える。


「……男子生徒があんまりいないということは」


 拓也は嫌な感覚になる。


「つまり、男子だけがダンジョンに飛ばされたということかな」


 紗矢は怖い表情で言う。


「……現在わずかに残ってる男子がダンジョンでの戦いで生き残りか」


 拓也は恐怖を感じる。


(まだ、戦いは終わってないしクリアではないのか?)


 拓也は考える。


「紗矢ちゃん、体育館に30分ぐらいいるって言ってたけど体育館には女子生徒が先に来たのかな?」


 拓也は紗矢に質問をする。


「うん、そうだよ」


 紗矢は素直に答える。


(妙だな。全校集会だと男女一緒に行くはずなのにな)


「あの良くわからない声が聞こえた後、校内がざわついてすぐに放送がなって女子生徒から体育館に来てくださいとアナウンスあったんだよね」


 拓也が考えているうちに紗矢が話をする。


「女子生徒が体育館に集まった後に男子生徒が来るようにアナウンス入ったんだけど」


 紗矢はくもった表情をする。


「そこから男子が数人が入って来た感じだね」


 紗矢は落ちついた様子で言う。


「……」


 拓也は怖い表情になる。


(女子生徒はどういう状況になっているかわからない可能性があるな)


 拓也は回りを見渡すが大きなざわつきはない。


(そもそも、僕がダンジョンで戦っていたのは夢?)


 拓也は回りに散らばってるカードを見る。


(夢ではないな)


 拓也は改めて現実だと思う。


「……紗矢ちゃん、真矢ちゃんはどこにいるかな?」


 拓也は真剣な表情で紗矢に聞く。


「真矢ちゃんなら、お兄ちゃんの後ろにいるよ」

「え?」


 後ろから冷たい手が拓也の首に触れた。

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