第5章 完全脱・炭素化へ
非・民主主義日本政府は、『常任優等国』の名に恥じぬよう、目標に忠実に改革を断行した。まず石油、メタンガスなど炭素(C)を主成分とする化石燃料の使用全面禁止が断行された。そのため、化石燃料が必要な核燃料の製造が不可能となり、原子力発電も廃止となった。水素エネルギーも水素製造に炭素原料が必要なため、利用不可能となった。
しかし、宇宙人の指導により高効率な再生可能エネルギーが導入され、生活は快適だった。しかも、ベーシック・インカムで個人の最低生活は保障され、また、個人の収入は常時政府にオンラインで把握されていたので、基準より減れば、政府よりその金額が即日個人の口座に補てんされ、逆に基準より増えれば、政府よりその金額が即日徴収された。完全な再分配で、完全な平等が実現されていた。
健康保険も完璧で、血圧や血液の状態などのデータは、常に政府に送られ把握され、AIが診断し、適切な薬が即時に配達された。同様に食糧の供給も完璧で、政府により管理され、個々の摂取カロリーが把握され、標準を超えれば、供給が停止され、不足すれば、直ちに政府から食糧が送られた。メタボと言う語も、ダイエットと言う商売も消えた。
国民は何も考えることなく、非・民主主義政府の決定に従った。それで何の不満も不安も無かった。誰もが憲法で保障される健康で文化的な生活を送っていた。
非・民主主義日本政府は、完全脱・炭素化に向けて、次の段階の政策行動に入った。化石燃料以外の二酸化炭素(CO2)排出物の排除だ。牛をはじめとする、動物が一斉に処分された。しかし、大豆ビーフなどの普及で、大きな食生活の変化は無かった。国民は何も考えることなく、非・民主主義政府の決定に従った。それで何の不満も不安も無かった。誰もが憲法で保障される健康で文化的な生活を送ることができたから。
こうして、国民の情報と生活を完全に把握、管理、掌握した非・民主主義日本政府(宇宙人傀儡政権)は、スムーズに脱・炭素化政策の最終段階の行動に入っていった。完全脱・炭素化である。
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