第14話 答え合わせ

私の問いに驚いたような顔をしているライト。そんな彼のために言葉を続ける。

「そんなに驚かないでよ。実はね、おばあちゃんの家でお母さんとお父さんの写真を見せてもらったんだ。ほんとにびっくりしたよ。

見たことないはずのお父さんがだれかさんそっくりなんだからさ。」

そういうと彼は観念したように答えた。

「とわってのはおれが名付けたんだよ。」

「そうなんだ。知らなかった。ライトはなんで神様をしているの?もともとは人間だったんだよね?」

「あぁ、それは借金を返すみたいな感じかな。ちょっと神様に自分ではどうしようもないくらい大きなお願いをしちゃってね。足りない分をこうやって働いてるんだよ。」

「そうなんだ。どんなお願いをしたの?」

「それは…。なんというか大事なお願い。」

なるほど。あまり人には言いたくないお願いなのだろう。

「じゃあさ、どうして急に私の前に現れたの?もっと早く会いに来てくれたらよかったのに。」

「あぁ、それはできなかったんだ。現れた理由はね、君を見守ることも仕事になったんだよ。」

仕事に?

「実は、お母さんの願いなんだ。」

お母さんが…。それ以上は何も言わなかったが私のことを心配していたことはわかる。それで実際に私は命を絶とうとしたのだから母の危惧は的中したといえるだろう。

「あのね、ライト。私、将来の夢ができたんだ。」

「それはよかったね。どんな夢?」

「学校の先生になろうと思う。自分と同じような子たちを救える先生になりたいんだ。」

少し驚いた顔をしたライト。

「そっかすごくいいね。じゃあ応援しなくちゃな。そうだ、寿命と引き換えになんでも願いをかなえるって約束を果たさなきゃ。」

「もう慈善活動は終わりなの?」

「もうおれには力がないみたいだからね」

「そうなんだ。じゃあ、ずっと私のことを見守ってて。」

「それがお願い?」

「うん。立派な先生になるからちゃんと見てて」

「わかった。」


私の慈善活動はこれで終わった。もうライトは現世にはいない。もともといない存在だったのだが。これからは自分の道を生きていこうと思う。強く強く。そしてみんなに自慢できる大人になる。その日までちゃんと見ててね。

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神様の慈愛 三戸翔馬 @mito_syouma

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