第13話 自分
それから2日間おばあちゃん家に滞在して家に帰ることにした。名残惜しそうにされたが十分良くしてもらったし目的も果たした今、これ以上迷惑をかけるわけには行かないだろうと思っている。
「またね、おばあちゃん、おじいちゃん」
「またね、体調に気をつけて元気にね」
「うん、わかった」
「とわ、これからは好きなようにいきな」
「ありがとう、おじいちゃん」
2人の言葉を背にバスに乗った。
おじいちゃんの言葉はなんだか全てを見透かしているみたいでドキッとした。"好きなように"。今まではお母さんと一緒ならなんでもよかった。これから…。わたしにはなにもない。それにライトに会って何を話せばいいかもわからない。会いたいと思って会う手段ももらった。これまでの人生が嘘のように恵まれている今の状況に動揺しているのかもしれない。もう神様を嫌ってはいない。それだけは必ず伝えようと思った。
家に帰ってから次の日の朝、私は病院に出向く。
病院の屋上で空を見上げた。風もなく日も出ている。すごくいい天気だ。
そしてそこに当然のようにいる神様に話しかける。
「神様、帰ってきました」
「おかえり、じゃあさっそく会ってみるかい。あの子に」
その言葉に今更ながら緊張している自分がいた。
「そんなに緊張することはない。きっと会えば話したいことが湧いて出てくるはずさ」
何もかもお見通し神様の言葉に背中を押された。
「はい、会わせてください」
「じゃあ、がんばってね」
その言葉とともに目を開けてられないくらい神様が輝きだし、神様がいた場所に
会いたかった相手が現れた。
「らいと!」
余りの喜びと興奮でおもわず抱き着いてしまった。
「とわ?」
こんなに困惑された声を出されたらさすがに気まずい。
ゆっくりと抱きしめるのをやめ、離れる。
神様の言った通り、話したいことがいっぱいで何から話せばいいかわからない。
それでも一番気になっていることを聞いた。
「ライトは私のお父さんなんでしょ?」
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