第12話 帰省
それから私は祖母に連絡を取り、次の日に帰省をした。そこはバスで三時間ほどでつくお母さんの実家だ。到着するバス停に車で迎えに来てくれていた。
「おかえり、よく帰ってきたね」
「ただいま。」
一人で帰省するのが初めてということもあり緊張していた。寡黙なおじいちゃんが妙に怖い。久しぶりで気まずさはぬぐえないが優しく迎えられると少し安心する。
車に乗って、家に向かう。
「一人での生活は大丈夫?いつでも帰ってくればいいからね」
「大丈夫だよ。毎日楽しくやってるから。」
「そう、それならいいけど」
おばあちゃんたちはお母さんの葬式の時に私を引き取ろうとしてくれた。
おばあちゃんたちと暮らすのは少し気まずいと感じて、学校を理由に断った。
それでも金銭的な支援をしてくれている。もちろん学費を払ってくれているのは彼らだ。学校に行っていないことに少し罪悪感を感じる。そんなことを考えていると家についた。家に入り、手を洗ってリビングに向かう。
「おなかすいてない?いっぱいあるから食べなよ」
時刻は13時を回っていた。私は朝から何も食べてない。テーブルに並ぶ食べ物を見ておなかが鳴った。
「いただきます。」
おばあちゃん家にくるとたくさんのおかずがテーブルに並び、そのおかずに見合わないほどの量しかない白ごはんが渡される。おばあちゃんたちはもう食べ終わっているのか茶を出してくれたり、私の寝る場所を作ってくれたりといろいろとしてくれている。申し訳ない。
「ごちそうさまです。」
「おそまつさまでした。」
こんなまともなご飯は久しぶりに食べた気がした。とても美味しく食べすぎたかもしれない。おなかがいっぱいになって少し眠たいが、今回の旅の目的を忘れてはいない。
ごはんが終わりおばあちゃんとおじいちゃんに私の両親の話を聞くことにした。
「おばあちゃん、今日来たのはね。私の両親のことを教えてもらいたかったからなの。」
少しの沈黙があった。死んでしまった娘の話をするのはどんな気持ちか容易に想像できる。おばあちゃんたちの様子を見て心が痛んだが、それでも私はライトに会いたいのだ。おばあちゃんはおもむろに立ち上がり二階にのぼっていった。そしてしばらくして大きい箱を持って降りてきた。箱の中には少し古いアルバムと写真が多く入っていた。
「これね、お母さんの写真。」
それを見せてくれながら私にお母さんの小さいときの話をしてくれた。懐かしそうに話しているおばあちゃんの目は少しうるんでいた。隣で聞いていたおじいちゃんも腕を組み目をつぶって上を向いている。
「それで、これがお母さんの結婚式の写真。」
「じゃあこの日人が?」
「そうよ、あなたのお父さんね。」
それを聞いて、神様が私に伝えたかったことがわかった。
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