第6話 学び
「今日は勉強をしようと思う!」
神様が唐突にはなった言葉が私に突き刺さる。
勉強、べんきょう・・・。無理だ。考えるだけで頭が痛くなる。
今まで勉強はろくにしたことがない。
「いや」
「いやじゃありません。行きます。」
こんなにも強い意志のこもった眼は初めて見た。
仕方がない。頑張ってみるしかない。
「がんばります」
「では、ここに座って」
そういわれリビングの机に向かい椅子に座った。
「今日使う教科書はこれです。」
杖に置かれたのは大量の漫画だった。
「え、これはなんのお勉強なの?」
「人生です」
人生。なんかすごく盛大なものだな。それで漫画?意味が分からない。
「人生で大事なことは漫画で学べます。」
なにをいっているのかどんどんわからなくなってくる。
「友情、夢、努力、恋。こいつらをぎゅってまとめたのが週刊少年キャンプというやつです。なのでここに用意したキャンプ漫画を読んで人生を学びます。では、読んでみましょう」
言われるがまま漫画を読んだ。漫画はとても読むのが難しく次どこを読めばいいのか迷子になることが多々あった。神様に読む順番を聞いても《読みたいところからよめ、フィーリングでわかってくる》となんの参考にもならない答えが返ってきた。
読むのに苦戦しながらも絵があるので文字だけより幾分か読むことへの抵抗はなかった。初めて読む漫画はドキドキするシーンが多かった。神様によると王道の展開というものらしい。神様がちょくちょくネタバレしてきそうになるのがかなりうっとうしく、自分の部屋で続きは読むことにした。昼ご飯を食べるのも忘れまる一日、漫画を読み続けた。さすがにおなかがすいたので、神様が用意してくれた晩御飯を食べながら感想を話した。
「いろんな漫画を用意してたけどどれが面白かった?」
「えっとね、ニセアイが1番好き。次が気になって最後まで読んだもん。結末はあんまり好きじゃなかったけどそれでも現状1番」
「ニセアイは面白いよね。ぼくもよくコンビニで立ち読みしてた。」
神様ってどこにでもいるんだなぁ。
それに立ち読みもしてるのか。貧乏神だ。
「神様って暇なんだね」
「うるせいわい」
「神様おすすめの死神の漫画はイラストが怖くてやめちゃった」
「えぇ〜、ぼくと死神の違いを知って欲しかったのに」
少し気になったのでもう少し漫画になれたら呼んでみることにしよう。
「明日は仕事に行くよ、続きは暇な時に読んでね、今日は夜更かししないでよく寝なさいよ」
なんか親みたいなセリフだなぁと思い、寂しい気持ちになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます