第3話 同居神

いっしょに住みたいと駄々をこねる変態の神を引きはがしながらとりあえず家に帰った。

やっぱり一人はさみしい。

何かしてないと頭の中がお母さんのこととこれからの暗闇だけで埋め尽くされる。

「はぁ、だめだ。やっぱり生きていけない。」

あぁ、やばい涙出てきた。

「大丈夫か?」

「大丈夫じゃない。なんでいるのさ」

恐怖と驚きで涙引っ込んだわ。

「え、あのー心配で?」

「ストーカーということだね、通報だ」

「やめろよ、神様だぞ!」

「神様なら何してもいいのかー、違法だ違法!」

「法律は人間が作ったもので神様には適用外だ」

屁理屈ばかりだ。神という立場を最大限に活用してくる感じが余計に腹正しい。

「変態ストーカーのチャラ男は神様にはなれませんよ?」

「そんな真顔で言われても・・・。変態ストーカーのチャラ男は神様にはなれないかもしれないけど、神様は変態ストーカーのチャラ男になれるらしいな」

なにを言ってるんだこの人は・・・。そんな神様を祭っている人がかわいそうだろ。

「もういいよ。疲れたから」

「いいのー。じゃあゆっくりしてくね」

ストーカーしたことを許すって意味で言ったのに。はぁ、もういいか。

いてもらった方が気がまぎれるし、危ない人ではなさそう。

「わかったよ。それでいい。」

「だめだよ。そんなに簡単に男を迎え入れちゃ!危ないでしょ!」

こんなにめんどくさい人とは出会ったことがない。

でも、この人は危ない人ではないと思わせるだけの雰囲気がある。

眷属になったらこんな風に思うのかもしれない。

「らいとは安全でしょ。」

「まぁ、そういわれると嬉しいけど」

「じゃあ、それでいいじゃん。一人だと広すぎるからさ一階は使っていいよ。二階には来ないでね。それだけ守ってくれればいい。」

「いっしょに寝ないの?」

「追い出すよ」

「ごめんなさい。」

こうして出会ったその日に同居人ならぬ同居神ができた。

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