第2話 あだ名

契約直後、神様とこれからのことについて少し話をした。

「私はなにするの?」

「活動については言葉で説明しても分からないと思うから、とわには実際に見て覚えてもらおうと思う。」

あれ?

「私、自分の名前いったけ?」

「え?」

「今、とわって」

「あぁ、名前ね、ぼく神様だよ。人間の名前くらい聞かなくても分かるよ」

「そうなんだ。神様は名前あるの?」

別に名前に興味はなかったが神様と呼び続けるのは少し抵抗感があって嫌だった。

「名前か、神様って呼ぶのは嫌かな?」

「いや」

「辛辣だね、じゃああだ名みたいなものをお互いつけようか」

はぐらかすということは名前はないのだろう。

「名前ないんだね」

「そうでもないけどね。じゃあ、『とーちゃん』って呼ぼうかな」

「なんか子ども扱いしてない?」

神様の見た目は私と十個も変わらなそうな20代前半から半ばくらいの若さに見える。そんな相手に高校生にもなって子ども扱いをされるのは心外だ。

「してるよ。パパって呼んでくれてもいいんだよ」

「絶対いや」

「じゃあ普通に『とわ』って呼ぶ」

うーん、神様・・・、チャラい人・・・。

「じゃあ、私は『ライト』って呼ぶ。」

「なんかそれ死神意識しちゃってない?」

どういう意味だろう?

「どういうこと」

「いや、知らないならいいや。ちょっと新世界の王になった気がしただけ。」

意味の分からないことを言いながらなぜか笑っている

「チャラいひとだからライトにした。できるだけ名前っぽくね」

「そんな風に思われてたのか」

そんなにチャラいと思われるのは嫌だったのだろうか。明らかにショックを受けているように見える。

「で、これからどうするの?」

「これからの話をする前にまずとわの話を聞かせてもらおう。」

「私の話?」

「なぜ自殺しようと思ったのか」

あぁ、そのことか

「お母さんが死んで生きる意味がなくなったから。」

それ以上の言葉はでなかった。

「なるほどね」

ここで変な慰めをしてこないあたり案外、人の心を持つ神様だと思った。

「残された空っぽの私と一人で住むには大きすぎる家だけでこれから生きることを考えるのは無理だったそれだけ。」

「じゃあ、ぼく一緒に住んでいい?」

前言撤回、神は人の心を持ち合わせていないらしい。

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