パーティ探し(強敵と書いて<とも>と読む)
第7話 魔法の祠(ほこら)にいた怪しい老人
(別の大陸に繋がる魔法のゲート、その
そんな事を考えていたら、あっという間に祠についてしまった。
怪しい絵が描いてある建物。絵と言っていいのか、ツボを持った化粧の濃さそうな女性、決して美人ではない。
(こんな絵を書くなんて、趣味悪いよなあ、それとも何か意味有るのか・・?)と思いながら俺が歩いていると、怪しい爺さんが俺に話しかけてくる。
『旅の御人、どうされた??。』
『いやぁ、私は考古学を学ぶ学生で、夏休みの研究の為、遺跡の見学に参りました。』
『ウソをつくのはおよしなされ・・。最近の学生は、鎧を着て、剣を持って、勉強に来るのか?。』
『・・・・フフッ。バレてはショウガナイ。考古学の学生は仮の姿、ワシは魔王四天王の一人、アルフ ザ グレート。』
『私に話しかけるとは、運の悪い奴、死ねぇい・・・』と俺は言い、持っていた剣を太陽にかざした。
(・・・いやぁ、流石に此処迄やって、どう、面白かった??と聞けば、相手も大爆笑でしょう・・。やっぱり、いくつになっても刺激が大切だよ。マンネリは良くないでしょ。さあ、シラッとした雰囲気になったら、先ず謝ろう・・・ノリで許してくれるだろう・・・。)
俺がそんなことを考えながらした悪ふざけが、そうその動作が・・・、偶然かざした剣に太陽が反射して、老人の目をくらませる。
『ぐぁあ、目が、おのれぇい。』
『お前、ワシが魔王軍4天王、氷結の妖星ラシャーヌだという事を見抜いて、試したな・・!!。』
(え、まさか、この爺さんが乗ってくるとは、好いノリしてるねぇ。よし、もっとイコウ。)
『我こそは伝説の勇者ダンバインの血を継ぐ、勇者アルフ、この目は節穴では無いぞ。』
(ダンバインって、俺が子供の時に買ってもらった、ライターに変形するロボットの名前だよぅ、俺の世代の日本人が聞いたら、この時点でバレルし、大爆笑だろうなぁ。)
『何だと、伝説の勇者の血を継ぐ者だと、そんな大物がこの地にいるとは、魔王ティラミスル様は、そんな事言わなかったぞ。』
『我が一族の伝説は、一子相伝なのだ・・・。』
(つまり、俺一人しか知らない伝説(笑)、・・・んん、魔王ティラミスルを様付で呼ぶなんて、この人本当にノリがいいねぇ、いや、トリキアの都でそんな事言ったら、下手したら捕まるぞ・・この人、プロだなあ、一瞬に命を賭けてる。嫌いじゃないよ、俺、そういう人。)
『それでは、私の本当の姿も見せなければならぬな・・・』と、突然老人の声は若い女性の声に変わった。
(えぇえ、ボイスチェンジャー、異世界のボイスチェンジャ―って日本より、進んでるの。こりゃ、ハリウッド映画のスタッフが度肝抜かされるレベルだぞ・・。)
気がつくと、老人の身長が高くなっている。150㎝ぐらいかと思っていた身長が、気がつけば165cmである。
(えぇ、何が起きてるの。どんなトリックなんだ。足たたんでたのかな。)とアレフはその状況に夢中になっている自分に気がついた。
妖星ラシャーヌと名乗った老人は、自分の顔に手をやると、まるで服を脱ぎ去る様にガバッと表皮を剥がすと、其処に出て来たのは、ヒーロー戦隊モノに出て来る悪の女幹部、いや下手するとピンク(女性戦隊員)の役者の人気をかっさらってしまう程の美人が其処にいたのである。
『うわぁ、美人、美人が出て来た。』とアルフは思わず、声を出す。
『負けた、完全に俺の負け、まさか、驚かそうと思って、最後は此処迄度肝を抜かれるとは・・・。』
アルフのその素直な感想を聞いて、一瞬、ラシャーヌは赤面する。
魔王軍で屈指の実力者である彼女は、その強さから恐れられ、何時も畏怖の目を向けられていた。
凍てつく魔法を得意とする妖星ラシャーヌは、実はコンプレックスの塊の様な性格であり、彼らの畏怖の眼差しは、自分が醜いからだと、誤解していた。
結論を言うと、褒められる事に慣れていない恥ずかしがり屋の女性なのだった。
『ふざけるなぁ!!。』とラシャーヌは、照れも有ってか、感情のまま、自分が使える氷魔法をぶっ放す。
威嚇であるから、ワザと外す。何時もの彼女であれば、そんな事はしない。直ぐに止めを刺す。
魔王ですら恐れるその氷魔法の最大魔法は破壊力がすごく、アルフが見ていた遺跡が一瞬に凍り、バラバラに崩れる。その氷が散り行く姿は、儚く、しかしとても美しかった。
アルフに直撃したら、間違いなく即死であっただろう。
アルフは、無意識に
アルフの何気なく出してしまった言葉が、彼女の心を動揺させ自分の命を守っていたのである。
『ブラボー、ブラボー、こんな壮大な仕掛けをしていたなんて、完敗・・。』と俺は思わず、彼女に近づき、抱きしめた。
(こんなマジック生まれて初めてだ。有難う。感動した。)
抱きしめられた、ラシャーヌは突然のアルフの行動に驚き、ビックと少し痙攣し、恥ずかしさのあまり、アルフを突き飛ばし、飛び去ってしまった。
『覚えておれ、必ず殺す。今日は見逃してやる。』と言い、彼女は耳を真っ赤にさせ急スピードで飛び去って行った。
(あれ、今の人って、飛んだという事は魔族だったのか?人間の容姿にそっくりだったけど?まあ、どっちでもいいや・・美人だったなあ。)
(父さん、母さん、尾崎邦夫改めアルフ、15才、今、青春してます)と俺は子供の時に見ていたアニメの主人公の言葉を心の中で意識して呟いた。
その後、アルフは剥き出しになった魔法のゲートをやすやす見つけ、別の大陸へ飛んだのであった。
二人の出会いが、この後魔王の脅威になるとは、未だ誰も知らない。
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