第4話 PERK共鳴!
ぐらぐらと視界が揺れてくる。くそ、もうこんなに体調悪くなるのかよ。瘴気の毒性強すぎだろ。
視界の隅に映るたいまつの光がまるで踊るようにくねくねと動いている。これは、かなり、不味いぞ……。
ピコン!
『シナジー発生! 人霊、開拓の才、浄化の才、開墾+2、自然感応+1、大地の恵み+2が共鳴しています!』
『あなたに眠る精霊の力が目覚めようとしています!』
『新PERK:浄域支配+1を獲得できます!』
『浄域支配+1を獲得しますか?』
★YES/NO
よくわかんねぇけどイエス!
ドクンッ!
YESを選択した瞬間、身体に溢れ出る清浄の鼓動。……なるほどね。こりゃ運営が開拓の才と浄化の才のダブルコンボをオススメするわけだ。
差し当たって必要なのは、
ピコン!
『石のクワのレシピを思いつきました!』
これだ。
『コスト削減PERKを常態化します!』
★石のクワ
★必要な材料
石×5
即座に作成。できあがりと同時に手に持ち、ふらふらになりながらも地面へと勢いよく振り下ろすッ!
『開拓の才、浄化の才、労働のコツ+2、自然感応+1、開墾+2が発動します!』
ザクッ!
思いのほか良い音を立て、クワは地面へと突き刺さった。
続いてェ、新PERKコンボ、発動ッ!
『浄域支配+1が発動します!』
新しいPERK、浄域支配+1の効果は、自身に帰属する領域を浄域に指定し、支配する。
途端、簡易拠点内に満ちる清浄な雰囲気。呼吸がしやすくなり、心が軽くなる。身体に溜まっていた穢れや瘴気が消えていくのを感じる。
拠点内に、微かに蒼白く輝く光の粒子がポツポツと現れ始めた。なんか綺麗。
綺麗にすることまでは直感で何とか理解できたが……より深くは俺も知らない。というわけで何かと有用な貧者の瞳さん、お願いします。
『貧者の瞳+2が発動します!』
★浄域支配+1
自身に帰属する領域を浄域に指定し、支配する。穢れを清め、瘴気を退け、呪いを滅する清浄なる支配。
このゴミみてぇな汚染された世界で生き抜くには必須級のPERKじゃねぇか!
『領域を支配した経験により、あなたは新たな力に目覚めそうです!』
『新PERK:領域指定+1を獲得できます!』
『領域指定+1を獲得しますか?』
★YES/NO
新要素が多すぎて目が回りそうだが、何となく字面で想像できる。もちろんYES。
もうYES連打しすぎて腱鞘炎になるくらい連打しちゃう。あー、つかれたなぁ。
『条件達成。システム:領域支配を解放します』
『領域メニューを開きます』
★名称 [未設定]の領域
★種別 [浄域]
★象徴 [未設定]
★規模 1/10
★領域ボーナス [豊穣の大地+2][清浄の波動+2][未確定]
『チュートリアル! 領域を確保し、支配した領域の王となりましょう!』
『チュートリアル! あなたの領域に名前を付けましょう!』
『条件達成。システム:耕作ファームランドを起動します』
『耕作メニューを開きます』
★名称 [未設定]の畑
★守護 [未設定]
★傾向 [未設定]
★規模 1/10
★耕作ボーナス [豊穣の大地+1][未確定]
『チュートリアル! あなたの畑に名前を付けましょう!』
『チュートリアル! 畑に種を植えましょう!』
『インベントリにトマトの種×5が追加されました!』
流れるシステム通知は放っておいて、ぐでーっと地面に倒れ込む。地面は冷たくて硬いが、この際しゃあない。
あー、何とかなった〜……! あぶねぇマジで。本当に死ぬかと思った。思ってたよりも瘴気や穢れによる影響がデケェ。
瘴気や穢れは気付かないうちに体内に蓄積し、体調に変化が出るタイミングで一気に重症化するみたいだな。
悪意ある性質だ。
ごろりと横になる。頬に土がポロポロと付いた。
……いややっぱ床くらい必要じゃね?
ピコン!
『木の床のレシピを思いつきました!』
『石の床のレシピを思いつきました!』
『クラフトテーブルを開きます』
★木の床
★必要な材料
木材×10
★石の床
★必要な材料
石材×10
おー。やっぱ俺の思考に合わせて出てくるんだな、レシピって。現状に不満を持てば、色々レシピを解放できそうだ。
とりあえずクラフト。
ギコギコと木を切る音や釘を打つ音が聞こえる。15秒ほど掛かった。
できあがりの音と共に、インベントリから範囲を指定し床を設置する。簡易拠点内では簡単に物質の入れ替えができるようだ。
早速地面と木の床を入れ替える。
コンッ。
冷たい土の地面が、冷たい木の床へと早変わりした。
「っはぁ〜……!」
再びべちょりと倒れ込む。仄かな木材の香り……あれ、これおばあちゃん家の檜の匂いだ。インベントリには木材としてしか表示されないが……もしかして木材なら何でも変換できるのか?
「ぶっ壊れチートさいこ〜……」
少しだけ、ほんの少しだけ休んで、また活動しよ……まだやるべきことがたくさんあるんだ。うぃんどうのメッセージもかくにんしなきゃ……。
▽
「っは! やっべおもっくそ寝てたァ!? 今何時だ……!?」
▽
はい。というわけで朝になった、というか気づいたらなってました。
朝日が昇り、差し込む光が__ない! ちゅんちゅんと囀る小鳥の声が聞こえ__ません! そう、ここは滅亡系異世界。まともに空を飛べる鳥なんてほぼ絶滅してるんじゃないかな……少なくとも奴隷イツキとしては見たことがない。空飛ぶ悪魔と呼ばれる禁獣は結構どこにでもいるらしいし。
辺りは寝てしまう直前の景色のままだ。燃えるたいまつの火がゆらりと揺れている。やはり毛布も何もないので寒い。
のそのそと動きだし、たいまつの隣で手を翳す。あったけぇ……! じんわりと温まりながら、何故か生き残ることができた異常事態について考える。
「なーんか、生きてんだよなぁ……」
禁獣が棲む無人の荒野のど真ん中で、警戒もせず思いっきり爆睡しても何故か生き残っている不思議。
浄域の効果ってやつか? いやでも流石に禁獣が近づけば奴隷生活が染みついた俺は飛び起きるはず。そう考えると、そもそも俺は奴らに見つかっていないのだ。浄域にそんな効果はないはずだが……。
『貧者の瞳+2が発動します!』
★簡易拠点
簡易拠点。隠密補正がある簡易的な拠点。敵に見つからず、息をひそめ、ひっそりと敵を殺す術を磨く。
不思議に思っていると、貧者の瞳さんが発動した。どうやら簡易拠点の効果らしい。流石に簡易拠点有能すぎる。だからカモフラージュ的な感じであんなに草があったのか。
さて、身体が温かくなってきたところで、昨日ほっぽりだしてたシステムメッセージを読んでいこうと思います。えーっとなになに……?
『条件達成。システム:領域支配を解放します』
『領域メニューを開きます』
★名称 [未設定]の領域
★種別 [浄域]
★象徴 [未設定]
★規模 1/10
★領域ボーナス [豊穣の大地+2][清浄の波動+2][未確定]
『チュートリアル! 領域を確保し、支配した領域の王となりましょう!』
『チュートリアル! あなたの領域に名前を付けましょう!』
ふーむ。なるほど。何も説明がないが……あいにく数多のゲームをしたきたこの横道一樹をなめるなよ。何となく雰囲気でわかるわい! これは領地経営系SLGが始まる予感。そんなことない? はい。
とりあえず名前を付けてみよう。うーん、何がいいかなぁ。俺を生かしてくれた簡易拠点様にあやかって簡易拠点の領域とか? 申し訳ないがくっそださいな。やめとこ。
貧者の領域、奴隷の領域、日本の領域、イツキの領域……一樹、樹か。大樹の領域とかオーソドックスな気がするが……。大樹、大木、巨木、浄化、浄木、浄樹。
ピンときた。成就と浄樹をかけまして、我が領域の名称は[浄樹]の領域に決定いたします。わー! ぱちぱち! 脳内で拍手を送りまくる。
★名称 [浄樹]の領域
『名前ボーナス! [浄樹]の領域ボーナス [清浄の波動+2]が[清浄の波動+3]に進化しました! [浄樹の加護--]が追加されました!』
『インベントリに[浄樹の実]×1が追加されました!』
お、なんかボーナス貰えたらしい。
『あなたに眠る精霊の力が目覚めようとしています!』
『あなたは浄樹の精霊になりました!』
ドクン。心臓が強く脈打つと、身体の芯となる部分がどこか変わった気がした。何かが足りない。俺の核が欠けている。
『進化ボーナス! PERK[自然感応+1]が[自然感応+2]に進化しました! [大地の恵み+2]が[大地の恵み+3]に進化しました! 新PERK[浄樹の化身--]を獲得しました!』
す、凄いぞ。いつまでも情報が完結しない……ッ! めちゃくちゃ俺は強化されてるってことでとりあえずの理解はしておこう。
『チュートリアル! あなたの領域の象徴を入力してください!』
★象徴 [未設定]
象徴、象徴ねぇ。これを選ぶと何が起こるんだ? 例えば象徴をドラゴンとかにしたら、領域内にドラゴンが湧くようになるとか、そういう感じなのかな。
全くわからん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます