【457-8673回目】

 

【515回目】


 B31Fへと降り立った。最短経路を進もうとしたが、人食い花というモンスターに追われ、行き止まりに追いやられる。根っこを使って自由に歩く、食虫植物ならぬ食人植物。僕をしょくそうと、人食い花が集まってくる。こんな奴に生きながら食べられてたまるか。僕は食べられる前に、ナイフで自分の首を突き刺し、自殺した。


 次。


【666回目】


 僕は一体何をしているのだろうか。なぜこんな苦行をしているのだろうか。分からない。分からない。分からない。僕は、宿屋の階段を上がり、屋上へと到達する。すぐに死ななくてはならない。すぐに。すぐに。僕は飛び降りて自殺した。


 次。


【824回目】


 僕はようやくB40Fに辿り着く。まだ、ムラは存在するものの、安定してB35Fまでは行けるようになってきた。この調子で半分のB50F、折り返し地点まで向かいたい。だが、その油断が命取りになった。出会いがしらに現れた、ゴーストナイトに切り刻まれて、肉塊へとなった。


 次。


【1000回目】


 唐突に繰り返す自殺衝動が僕を襲う。もしかしたら、救いたいレオン達から浴びせられた追放の言葉が積み重なり、僕の精神をむしばんでいるのかもしれない。いや、自ら望んでこのループを繰り返しているのだから、自ら進んで自殺しているに等しいのだ。ほら、また。僕は脈絡もなく、ナイフを首に突き刺し、自殺をする。鮮血が宿屋の一室を染め上げる。


 死ぬ間際に、レオンが大きく目を見開いた気がした。


 次。


【1265回目】


 B50Fに辿り着く。B100Fが最下層。と、考えるとようやく半分の位置だ。単純計算では、2530回目には最下層に辿り着くことが出来る計算になるが、下層になればなるほど、難易度が上がっている。3000回くらいの僕の命は覚悟しなければならないだろう。いや、もっと多くの命を捧げる必要があるかもしれない。


 僕はさらに下層へと潜って行く。この命で行けるところまで。


 次。


【2671回目】


 レオンを誤って殺めてしまった。剣を抜く前よりも早く、ナイフで首を突き刺したのだ。なにを……、なにをやっているんだ、僕は!!僕が守りたいものを、僕が傷つけてどうするんだ!!自分の手がレオンの血で染まる。僕は絶望する。思いっきり頭にナイフを突き刺して自殺した。


 次。


【3113回目】


 B70Fに降り立つ。あと30階で最下層へ到着する。希望が見えてきた。やってやる!絶対にレオン達を救うんだ。


 僕は躊躇ためらうことなく、このフロアの一歩目を踏み出した。


 次。


【4444回目】


 僕は死にたくなる。ありとあらゆる死に方を経験した気もするが、今まで死んだことのない手法で命を絶ちたいと思い立つ。自分の足元に落とし穴を発動させて、僕は落下する。そして、自ら仕掛けた落とし穴を解除した。地面は元の状態に戻ろうと、左右の壁が迫りくる。僕は潰れて、ぺしゃんこになった。


 次。


【5370回目】


 B90F。あと、10階層。下層へと潜るペースが落ちたために絶望していたが、ようやくここまで辿り着いた。いける。あと1000人、2000人の僕の命を犠牲にすれば望む未来が手に入る。その程度であれば安いもんだ。僕にとって、自分の命は大暴落中だ。僕の命よりも軽いものなど存在しない。B1Fに刈り取ったスライムと同じ。すぐにリスポーンするモンスターと変わらないのだ。


 はたから見たら勇敢だが、僕は自分で理解している。これは蛮勇ですらない、もはや無謀。自分の命を投げ捨てながら、前へ進む僕にしかできない手法だ。精神が壊れる前に早くキュアを助け出すんだ。


 次。














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