第26話 To LOVEると奴隷娘八人衆の自己紹介

 勇者だった頃、良くメシの当番をしていた。

 思えば女子達は料理が出来ないやつが多かったと記憶している。

 奴隷達の中に胃腸が弱っている者は居ないだろう。

 三食ではないにしても固いパンと、それをふやかすスープぐらいは出ているハズだ。


 町で買った黒パンに食用の獣油を塗って温め、豆と屑肉や骨、根菜をじっくりことこと煮込んだスープは、薄味の塩スープと比べれば雲泥の差がある。

 最後に葉物野菜を入れ柔らかくなるまで火を通しすと、スープ皿に盛り付ける。


 食事の用意を終えた俺は奴隷達を呼びに脱衣所に向かった。

 脱衣所のドアをノックすると「はーい」と間延びした返事が聞こえた。


「俺だ」


「ナオスさまいかがされましたか?」


「昼食を用意した全員分あるので食べるといい」


 晩餐会に出席した御かげで少し冷めてはいるものの、温かくより美味い食事にありつけるようになった俺には、離れに広がった畑はもはや無用の長物となっていた。

 無論、兄弟姉妹や夫人達による嫌がらせは考えられるが、回復魔術によって物品さえも回復させられる俺には金など直ぐに手に入る。


 


「やったー!」


 奴隷の一人がドアを開ける。

 その瞬間目に入って来たのは肌色の天国だった。

 半裸の美女達の中には胸や尻が零れている人もいる。

 隠れている女性も下着で隠しているだけだったり、タオルで隠していたりとさまざまだ。


 爆乳ちゃんは、バスタオルを体に押し当てているだけでその豊満な肉体を覆い隠すには不十分だった。

 布面積は色んな意味でギリギリで、ふわりと宙を舞う裾の部分から覗く太腿から水滴がツぅーっと脚線を滑り落ちる。

 曲線を持った女性的な肉体が強く酷く蠱惑的だ。


 グレテル先生は既に下着を身に纏っているものの、黒いレースがあしらわれたブラとショーツでは、雪のように白く起伏が激しい躰を覆い格ことは出来ない。

 艶めかしい色気を放っている。


 爆乳ちゃんやグレテル先生と打って変わり、エルフちゃんの身体はスレンダーで何と言うか全体的に可愛らしい。


 白磁のように白い肌、すらりと細くまるでカモシカのような美脚、華奢で凹凸の少ない可愛らしい胸元。


 まるでビスクドールのような完璧な肉体美がそこにある。

 二人とは違ってこう未成熟な果実って感じだ。


「――ひっ!」


 女性達は引き攣ったような悲鳴が喉から洩れた。

 続いて聞こえたのは女達の肺が膨らみ空気を吸い込む呼吸音だった。


「きゃぁぁぁああああああああああああああ!!」


 奴隷達は身体を背けしゃがみ込む者も要れば、目を瞑り恥ずかしそうにしている者とさまざまだ。

 しかしグレテル先生だけは正確に籠を投擲していた。

 避けることも出来るがそれはマナー違反な気がして俺は、素直に投擲された桶を喰らった。




………

……



 少なくとも俺に落ち度はないハズだ。

 しかし俺はグレテル先生から説教を喰らっていた。

 紳士たるものとか、そう言うアレだ。

 つまり「俺は悪くないのは理解しているけど、私の気分を害した責任を取れ」と言う女性に多いヒステリーだ。


 奴隷の皆が食事をしている間ずっと怒られ続けた。

 グレテルの説教を止めてくれてのは巨乳ちゃんだった。


「グレテルさまそのぐらいにしてあげてください。ナオスさまは自ら覗いた訳ではありません」


「――だけどっ!!」


「未婚のそれも貴族令嬢の肌を見たとあれば許せないのは知っていますし、同じ女性として理解も出来ます今回は水に流せませんか?」


「でも……」


「グレテルさまには粗末かもしれませんが、ナオスさまが作って下さったお食事は大変美味しいですよ?」


「ナオスさまも昼食はまだですよね? ご一緒に召しあがっては如何でしょうか?」


 巨乳ちゃんの提案に乗って俺とグレテル先生は食事をした。


「悔しいけど美味しかったわ……」


「それは良かったです。しかしグレテル先生にとっては粗末なモノだったのでは?」


「ドンペリ家は武官の家系よ。月に何度か戦場で食べる程度の粗食で過ごすのよ」


 ドンペリ家の起源はこの地域一帯の船乗り、海賊だと訊いている。

 そのため洋上剣術に優れコッロス家の家臣になり、剣術指南役になったとか。


「それに私は冒険者だったからより一層粗食には慣れてるのよ」


 そう言うと本邸から持って来たワインを昼間から開ける。

 イタリアやドイツでは社会人でも昼間から飲酒すると言うし、この世界と言うかここベネチアンでは普通なのだろう。


「改めて自己紹介を――」


「その前に体を治すよ」


「へ?」


 先ほど一瞬で治した回復魔術とことなり、今回は時間をかけて治すことにした。

 と言っても一か月程度と極めて速い。

 術者の技量と被験者の体力や魔力、栄養状態によっても回復速度は変化する。


 乳製品や大豆、大根、アブラナ科の野菜は、骨を形成するのに必要なカルシウムを多く摂取できる。

 牛乳や大豆、小魚などの海産物は、肉を生成するのに必要なタンパク質も摂取出来て一石二鳥だ。

 本来は神経が再生する時間もかかることを考えれば、驚異的な回復速度と言える。


「治るのに時間はかかるが筋肉を付け直す必要もないだろう」


「「「「「「ありがとうございます」」」」」」


 欠損奴隷がそう言うと巨乳ちゃんがこう言った。


「それでは自己紹介をさせてください私はイオと申します」


 見事なカーテシーをするのだがぷるんと胸が揺れる。

 続いて挨拶をしたのはエルフだった。


「わたしはアイナリーゼ・アイエナン。アイエナン氏族のエルフ特技は魔術よろしく」


「アタシは――」


 ――と残り六人が挨拶をした。

 桃髪碧眼のウテナ。

 黒髪黒目のエリュシア。

 別大陸人で黒髪で浅黒い肌のオリガ。


 短い金髪に緑眼のカイ。

 オリガと同じく別大陸人で赤髪で浅黒い肌のキルケー。

 黒髪赤目のクレア。

 ――と個性豊かな面々だ。

 今日は元々仕事をさせるつもりはなかったので自分の部屋を決めさせた。




============

『あとがき』

 

 読んでいただきありがとうございます。

 現在皆様にご提示している更新予定分までしか、ストックがないので人気が出なければ、その時点で打ち切りになります。

✨【残り47話】✨

 なので読者の皆様に、大切なお願いがあります。

 少しでも


「面白そう!」

「続きがきになる!」

「主人公・作者がんばってるな」


 そう思っていただけましたら、作品の【フォロー】と「★★★」にして、評価を入れていただけると嬉しいです。

 つまらなけば星一つ★、面白ければ星三つ★★★

読者の皆様が正直に、思った評価で結構です!


 多くの方に注目していただくためにも、ぜひ応援していただけると嬉しいです!

 作者の自尊心を満たして頂けると執筆が早くなります。

 誤字脱字報告、気になる点、感想は『応援コメント』からお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る