第25話 side:イオ 爆乳メイドは思い耽る

Side:イオ(爆乳奴隷)


 私は年若い貴人に購入され奴隷となった。

 ご主人様は領主さまの庶子らしく、本邸と離れた歴史を感じさせる離れに住まわれている。

 到着して早々湯あみをするように命じられた。


 腕の無い奴隷の娘が身に余る光栄と感じ辞退しようとするも、「不潔なことが嫌だ」と一蹴されてしまい。

 私達はご主人様の警護役のグレテル様と入浴することになった。


「脱いだ服は籠に入れなさい後で纏めて洗濯してもらうから」


 グレテル様の命令に従い洋服を脱ぐ。

 周囲の奴隷達の視線が自分の大きな胸に集まるのを感じる。

 牝牛のように大きく豊な胸は、男女問わず視線を集める。

 男性からは劣情交じりの視線を、女性からは嫉妬と羨望の眼差しと言う違いはあるが……

 特にエルフの女の子からの視線が痛い。


 ザアアアアア……。

 風呂桶から暖かいお湯を頭から被る。

 水滴は乙女の玉のような肌に当たって弾け、ボディーラインをなぞるようにして下へ下へと垂れていく。


「暖かい……」


 不安で仕方がなかった私達には、人肌より少し暖かい程度のお湯も酷く熱く感じる。

 私は愛妾用だったため他の奴隷よりも良い扱いを受けるとは訊いていた。

 しかし蓋を開けてみれば多少の贔屓はあっても基本的な待遇は極めていい。


 石鹸も流石は公爵家。奴隷商のところで使っていたものよりも香りが良い。

 豪商や貴族に買われるか娼婦になるか、それだけしか選択肢が無かった私には公爵家に買われるなんて、つい数時間前の私には想像もつかなかった。


 メリハリのある流線型の身体、特に同年代と比較しても一際大きな胸に湯をかけて物思いに耽る。


 奴隷になってから純粋に優しくして貰えたと思ったことは一度もなかった。

 奴隷には良くして貰えたと思うだけどそれは高く商品を売るため、高級娼婦のように勉強や芸事を習い学と教養を高める日々だった。


 ナオスさまはどうして私に優しいのだろう? やはり私の躰に価値を見出しているのだろうか? そんなことを考えるだけで胸がチクリと痛む。

 誰とも知れない奴隷がポツリと呟いた。


「ナオスさまって優しいよね……」


「きっと誰にでも優しいのよ……」


 風呂に入っているのに邪念が混じる。

 邪念を振り払うために再び体を洗い流そうと考える。

 石鹸に手を伸ばす……すると近くで声がした。

 一瞬、心臓がドキンと跳ねた。

 声の主はエルフのようだ。


「あなたって胸大きいわよね? どうしてそんなに大きいの?」


「……お肉と豆を食べてるからかな」


「そっかー」


 エルフさんは胸に手を当てると悲しそうに自分の胸に視線を落した。


「湯舟に浸かると体が温まるわよ」


 一通り体を洗い終え髪を湯舟に付けないように纏める湯舟に浸かる。

 御屋敷の大浴場ということもあってか、浴室は広く平気で脚を伸ばせるぐらいに湯舟も広い。

 肩まで湯舟に浸かった状態からゆっくりと湯舟に滑り込み、鼻まで湯舟に付ける。


 ナオスさまにはお世話になってばかりで、恩返しをしたい。

 与えられてばかりでいる現状が不安になる。

 私を見た多くの客のように下心あって優しくしてくれているのなら理解できる。

 だけどナオスさまからは彼らと違う気がする。


 もちろん他の男のように、胸や足に視線を向けたりはする。

 胸が当たった時には鼻の下を伸ばしたりもしていた。

 だけど何かこう

 ああ、ほんと、面倒臭い自分が嫌になる。

 

「忘れよ……」


 私は気分を変えるために、誰よりも長湯するのであった。


「ちょっと貴方胸浮いてるわよ」

「ホントだ!」

「って貴方も浮いてるじゃないのよ!」


 わいわいキャッキャッと他の奴隷達の女子トークが聞こえて来る。


「いいじゃなないの普段から肩こりもしなさそうだし……」

「ムキーっ! 言っていい事と言っちゃっ行けない事の区別も付かなそうね!」

「まぁまぁ」


 私やエルフと違って欠損奴隷達は皆仲が良さそうだ。

 感傷に耽っている私の邪魔をする彼女達が何だか羨ましいと思えた。

 そんなことを考えているとエルフと目が合った。

 彼女も似たようなことを考えているらしい。

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