強者男性の唄

エリー.ファー

強者男性の唄

 音が聞こえる。

 寂しくならないように埋めた経験値。

 収入。

 年収。

 数字。

 積み重なる噂に、一つ一つ答えを出すための時間が必要だ。

 須らく。

 全て。

 全部。

 言葉を間違える。

 日本語が違う。

 誰も指摘しない。

 そのためのブランドを確立したのだ。

 積み木を崩した。

 しかし。

 こちらの積み木は崩させなかった。

 そのために月を見て。

 星を見て。

 音を数えて青く塗ったのだ。

 成功している、という感覚ではない。

 行き着いた、というだけでしかない。

 お腹が空いたので、飯を食いに行った。

 行動の一つ一つが、過去の自分から想像のできるものではなかった。

 お洒落に生きている。

 できる限り舐められないようにする。

 隙はある。

 けれどデザインしている。

 今は、輝きよりも温かみをイメージしている。

 みんな簡単に騙される。

 というか。

 騙されたがっている。

 不安だから。

 不安だからこそ、こちらを求めている。

 特にプライドの高い女が一番良い。

 プライドが高いから。

 一度信じると、死ぬまで信じようとする。

 プライドが邪魔をして、自分が認めた男がクズだった時に、クズを認めてしまった自分を受け入れたくなくて、ありとあらゆる言い訳をこちらのために用意してくれる。

 浮気をしても。

 不倫をしても。

 不貞をしても。

 必ず許してくれる。

 こちらが言い訳を用意する必要は全くない。

 何故か。

 単純だ。

 プライドが高いから。

 現実を受け入れられないのだ。

 だから現実の改変を行う。

 浮気をされるほどのバカ女ではなく、浮気をされても気にしていないという天才最高最強サバサバ系ありとあらゆる女性が憧れちゃうカッコいい大正解女になる、のではなく、最初からそういう女でした、ということにする。

「えっ、知らなかったの。あたしって、そういう女なんだよ」

 というプライドを守るための謎の言葉と意味不明な態度を示してくる。

 見ていて恥ずかしい。

 共感性羞恥がヤバい。

 でも、そういう女が一番都合が良くて最高。

 とにかく廃棄が簡単。

 プライドが高いことが武器だと思っている女は、プライド以外の武器が完全に錆びついている。

 いいように扱える。

 正直、捨てても問題ない。

 プライドが邪魔をして、簡単に別れを受け入れてくれるからだ。

 まさに、プライドの高い女は、道具、そのものだ。

 いや、モノ、という表現が正しいかもしれない。 

 この世の女性が、みんなプライドの高い女になればいいのに、と本気で思っている。

 そうすれば、地球は男のものだ。

 女が権利を主張する世界なんて、壊せる。

 女が人間らしい生活をするための権利を奪うことができる。

 完全に男のコントロール化に女を置いて、女を雑に扱って、捨てることができるようになる。

 本当に、バカばっかりだ。

 プライドの高さで、頭の悪さと才能の無さと実力不足を水増しできると思っている。

 頭の良さと持っている才能と実力に見合ったプライドの高さで生きていけばいいのだ。たった、それだけのことだ。

 そんな単純なこともできないバカばっかり。

 プライドが高かったら、その分、尊敬してもらえると思っているし、大事に扱ってもらえると思っている。

 本当に。

 本当に、バカが考えそうな戦略だ。

 いらないのだ。

 本当はプライドなんて、何一ついらない。

 やればいいだけだ。

 成功するまで続ければいいだけだ。

 本当に、たったこれだけなのだ。

 世の中に、強者男性なんて存在しない。

 私は強者男性じゃない。

 ただ。

 運が良いだけだ。

 幸運な男性。

 間違っても、才能があるなんて、実力があるなんて、微塵も思っていない。

 それ故に。

 失敗もしない。

 命を賭けてもいい。

 成功が自分の人生を肯定するなんて、全く思っていない。

 成功は、成功だ。

 たったそれだけのことだ。

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