第15話 孤独


ある日の夜、來夢は友達と出かけた。

僕は家に一人…気が狂いそうだった。


來夢はいない…真里亜とも距離を取ってる。


部屋を真っ暗にして、頭に浮かぶのは誰でもない真里亜。消したかった。

家に隠してある酒をかき集めて浴びるほど飲んだ。もうどうでもよかった。




すると、スマホが鳴った。

―――――――――真里亜だ。


スタンドライトを付けて電話に出た。

ビデオ通話にすると、真里亜が心配そうな顔で僕を見ていた。


「稜太。どうしたの。」

「なんでもない。」

「話して」

「なんでもない。大丈夫。じゃあね。」


電話を切るとまたすぐにかかってきた。


「稜太。なにがあった?今一人?」


真里亜にはなんでもお見通しだ。

昔から隠し事が直ぐにバレる。

でも今回はそれでも隠そうとした。



「なんでも無い。もうかけてくんな。」


そう伝えて僕から切った。

苦しかった


涙が溢れて止まらなかった。


僕は家を出た。




向かった先は…。



――――――――――――呼び出し中。


「……ママ。開けて。」



その人はスマホを切らないまま駆け足で玄関まで来て僕を抱き締めた。



「よかった…。」真里亜は僕を抱きしめてそう漏らした。


僕は真里亜にキスした。

真里亜もそれに答えた。


それだけでよかった。

抱きしめ合うだけでよかった。


真里亜の温度が欲しかった。


真里亜は僕の目を見て頬を撫でた。


「稜太…愛してるよ」

「俺も…俺のママになってよ…」

「ずっと前からあんたのママだよ」

「俺だけのママになって」

「今だけ。今だけあんただけのママになってあげる」

「……うん。」



――――――――――――。


帰宅途中、トラックの光が眩しく暖かく見えて僕は立ち止まった。


その瞬間――――――――――――。




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