最終章

第16話 生き写し

「あんたね…またやったの。」

「ママ……?」

「来るなって言ったのに」

「ママ…」

「なに…」


「もう死にたい」

「なんで?」

「真里亜はママじゃない。」


「おいで」


僕は母に包まれた。


「……俺の事生んだなら最後までして」

「最後?」

「うん。」


母は僕の首を絞めた。

幸せだった…。


「ママ……」

「あんたこと、誰よりも愛してるから。」

「……」


僕は 母の手を自らの胸へ導いた。


「んあぁぁ……」

「あんたにこれしていいのは私だけ。」

「もっと…もっとして…ママ…」


「いっぱいしてあげる。可愛い…ずっとあんただけ見てるから……」

「ママ……お願い……ここにいさせて」




――――――――――――――――――。


「稜太。」

「……麗美?」

「來夢だよ。」

「ママは?」

「いないよ?」

「……また捨てられた。」

「嫌な夢でも見た?」

「大丈夫。…來夢、しよ。」


僕は來夢の耳に手を伸ばした。


「稜太。」

「ん?」

「愛してるよ」

「……ママ?」

「私も似てるなって思ってた。」


「……お前なら思う存分やってもいいだろ。」

「……変態。」


「これ。使わせろ。」

「何?ママのこと考えてこんなにしてたの?」

「違う。お前の耳。」

「もっと見て。……凄い。もう出てる…」

「んッ…」


「稜太、大好きだよ。もっと声出して。」




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