第6話 いつでもいい
「……」
「ちょっと。外さないで。」
ある日、事務所の机で作業中に隣に座る來夢が髪をアップにしていたので押えきれず補聴器に触れると怒られた。
「違う。触りたかった。」
「…本当に変態。」
來夢は僕を見て微笑む。
「無理…」
僕は後ろから來夢を包み込んだ。
「したいの?」
「違う。んー…でもそうかも。」
「今話すことじゃないけど、いつもどうしてんの?ちゃんとはしてないじゃん?」
「一人でしてるよ。」
「なんで?何がそんなに嫌なの?」
僕はここだけ声に出さないで答えた。
普段は周りに配慮して声に出して手話で話していた。でも來夢は僕にはずっと声で返してくれていた。その方が早いからって。
「…もう言ってもいいかな?」
「なに?」
「我慢できなくなったお前に襲われたい。ずっとずっとそう思ってた。…そういうの趣味じゃないならいい。お前がして欲しいようにする。」
來夢は少し困った顔をして僕の頬を包み込んだ。
「…とっくに我慢なんて限界超えてる。それでも耐えてるの。」
「辛い?」
「辛い。『嫌われてる』とは思わないけど、来て欲しい。」
僕は半ば強引に店の地下の倉庫へ連れ込んだ。
ドアを閉めて來夢をきつく抱き締めた。
そして…強引にキスした。
來夢に僕のものに触れさせて、耳元で言った。
「お前が可愛くて。傷付けたくなかった。。」
でも聞こえてないようなので、來夢にライトを付けたスマホを持たせた。
そして、手話で伝えた。
「お前が死ぬほど可愛い。だから痛い思いさせたくなかった。」
すると僕の手を片手で握って僕にキスして言った。
「来て。ちゃんとして。」と。
───────────────。
部屋を出たあと階段でまた口付けた。
でもその日以降、僕らは体で想いを伝え合うことができるようになった。
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