夢が叶わず苦しんでいる時に読む話。

エリー.ファー

夢が叶わず苦しんでいる時に読む話。

「仮に夢が叶わなかったとして、何が悪いのでしょうか。夢が叶っていない状態は、苦しいだけであり、私の人生を否定するものではありません」

 都竹雄介。

 三十八歳。


「まだ叶っていないってだけでしょ。死ぬ瞬間に叶わなかったって絶望すればいいだけで、まだそのタイミングじゃないでしょ」

 三嶋裕子。

 四十歳。


「夢を追うのが苦しいなら、夢を追う才能もないってことなんじゃないの」

 貝塚仙太郎。

 二十二歳。


「夢を追いかけることに希望を持つべきであって、夢自体を希望にするべきじゃないってことよ。理解できるよね。だから、苦しいんだよ」

 飯田太郎。

 五十九歳。


「夢なんてまず叶うものじゃねぇから」

 餅田望。

 三十七歳。


「夢について考えた時間が宝物になる。それでいいでしょ。多くを望み過ぎなのよ。皆、どこかで上手く折り合いをつけながら生きているんだから」

 境田敏弘。

 七十八歳。


「君を苦しませるような夢なら捨ててしまった方がいいね。本当の夢は、君に希望だけを与え続けるものだよ。というか、そうであるべきだ」

 黒川花太郎。

 四十一歳。


「夢を追いかけることをやめる必要はない。苦しんでいる時なら尚更だよ。きっと、言っている意味も分からないと思うけど、今に分かるさ」

 鈴木優

 三十九歳。


「夢を持つ方が悪いよ。だって、苦しくなるなんて最初から分かってたことでしょ。なんで、そう自分から苦しい方に寄って行こうとするのかな」

 杉内美奈子

 十八歳。


「夢って、段々ときつくなっていくものだよね。分かるよ、その気持ち」

 青村喜助

 九十歳。


「夢を捨てて生きていく勇気が、最後に夢を叶えさせてくれる。わけわかんないでしょ。あたしも、言っててわけわかんない。でも、そういうものなの。そういうものなのよ」

 田中茂聡

 年齢不詳。


「人生って不思議だよなぁ。その苦しみも思い出に変わっちゃうんだからさ。でも、いつかいい思い出になるだろう、なんて思っちゃいけないよ。苦しいなぁ、とだけ感じていればいいんだ。大丈夫。その解釈で間違ってない」

 小谷春人

 五十五歳。


「夢には、何もない。空っぽさ。叶えたところで、何になるのかな。苦しんでいる時間の方が楽しいんじゃないのかな」

 井出幸助

 二十四歳。


「夢を捨てても人生は苦しいの。じゃあ、夢を捨てる意味って、どこにあると思う」

 糸井かおる

 三十六歳。


「夢はあるよ。いっぱいあるよ」

 田倉忠

 十歳


「夢は、叶えない方がいいよ。きっと、叶った時に絶望しちゃうからね。今は、苦しんでいる時間を享受した方がいいよ。毎日、大変でしょ。それってねぇ、楽しいってことなんだよ、偉いってことなんだよ、凄いってことなんだよ」

 出井淳司。

 四十四歳。


「夢を見ている間はまさに夢見心地で生きていける。でも、ある日、夢を見られなくなる。そして、自分の体の重さを知ることになる。苦しいし、辛いと思う。出口は見えないし、もしかしたら出口なんてないかもしれない。さぁ、君は自由だ。残念なことに、最初から、そして、最後まで、ね」

 伊佐木フレディ。

 七十歳。


 ある日、夢を見なくなった。

 心が軽くなり、多くの人と話す機会に恵まれた。

 自分の境遇について話すと多くの言葉が返ってきた。

 心に残るものもあれば、残らないものもあった。

 僕はまた夢を見られるようになった。

 今度は、心地よい夢だった。






 この物語はフィクションです。

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