エピローグ&あとがき

 エピローグ


 ここら辺の夜道はそんなに車も通る場所でもないので、波瑠と小波は二列で話俺はいつも通り後ろから二人の話を相槌程度で聞いて小波の家近くまで向かった。


 小波の家近くまで行くと小波も


「ここからは大丈夫だから。二人ともそれじゃ。また明日。」


 と言って、小波は足早に行ってしまい、俺達は二人っきりになった。


 俺達は二人っきりになった後、波瑠もしゃべってこないから只々黙って家に戻っていた。


 そういえば、波瑠と一緒に歩くのもこれで最初で、…最後かもしれないからそれについて俺は話そうとした。


 だが、何故か躊躇してしまい、ただ夜の静かな時間に俺たち二人の足音だけが聞こえる。


 じゃあ、別の話題でも話そう。そうだ、丁度小川の橋の上だし、昔三人で川で軽い魚釣りみたいのをした時の話でもするか。


 と、思っていた時に隣から


「ねぇ、拓磨君。」


 と、小声ながらも話してきた。


「ん?何だ?」


「…どうしても気になってる物があるんだけど。」


 そう言って、波瑠はポケットから俺のプレゼントを取り出した。


「このプレゼント、ここで開けてもいいかな?」


 こんな暗い所で開けるより家で開けた方が。そう言おうと思ったが波瑠は俺のプレゼントをイジイジ触りながらどうしても開けたそうにしていたから、俺は、


「あ、あぁ、…開けてもいいんじゃないか?」


 とつい答えてしまった。


「やったぁ。じゃあ、早速。」


 波瑠は、少し喜んだ後に袋上の折り目のテープを取って、袋を傾けて中身を出していた。


 中身は、俺がこの前に最後の最後にようやっと見つけた髪留めなのだが、赤色でひらひらしていて波瑠の感じに会っていると思って買ったのだが、反応はどうだ?


「わぁ~、シュシュだ!」


 シュシュ…っていうのは分からなかったが、波瑠は嬉しそうな声を出した。


 そうして波瑠は、後ろ髪をまとめて髪留めをつけると俺に見せつけてきた。


「どう、かな?」


 正直、電柱の明かり一つで見えずらいと思っていたがそんな事はなく、後ろに髪をまとめただけでも印象が変わって、物凄く似合っていたが、


「いや、暗くて分からないが似合ってるんじゃないか?」


 俺は、はっきりいうのも何故だか波瑠の方を見て言うのも恥ずかしく、横を向きながらぼかして答えた。


「そっか、暗くて分からないかぁ。でも、何で拓磨君は私の方を見ないの?」


「そ、それは…。」


 今、波瑠の方をみなくても笑っているのが口調で何となくわかる。


 というか、今まで波瑠は誰かをからかう事はなかったが、今日はどうしたんだ?


 だが、このまま答えないのも変に思われるから、俺はついでに聞きたい事を波瑠に言った。


「…それよりも、波瑠。お前はこれから栞さん、…お母さんと一緒に暮らすんだろう。良かったな。」


「…ん?お母さんと一緒に?」


 何だか波瑠はいまいちわかっていないようだが、確かに違ったか。


「そんな反応になるのもそうだよな。だって、栞さんは社長だし、毎日は家に居ないかもしれないが大体は一緒に暮らす。と言うべきだったよな。」


「ちょ、ちょっと待ってよ、拓磨君。おばさんから聞いてないの?」


「うん?何を?」


 俺はなんのことだかさっぱり分からず、恥ずかしいと思った事は一旦置いといて波瑠の方を見ると何とも言えない気まずそうな顔をしてこう言ってきた。


「私はまだ須原君の家で同居するんだけど…。」


「え、いや、だって俺らがロスガの会社から出る前、そんな雰囲気じゃなかったよな?」


 あの時のことを言うと、波瑠は頬を掻いて、


「あぁ~、実は、その日の夜にお母さんが、『まだ問題もあって難しいから須原家に預ける』って言われて、『日曜日には拓磨君のお母さんに連絡するね』とも言ってたんだけど。」


「…。」


 き、聞いてねぇ!母さん、そんなのひっっっとことも言って…、待て、思い出せば言ってるかも、……駄目だ。


 絶対に言ってねぇ!!


 それでも思い出そうとした時、そう言えばと俺は、ある事を思い出し、口に出した。


「朝、陽葵も寂しがっていたから、あいつ知らされて無いんじゃないか?」


「でも、家を出る時に『波瑠ちゃん、またこれからもよろしくね!』って、言われたけど。」


「なにー!」


 さっきのあれはそう言う事だったのか。でも、陽葵は、いつ聞かされたんだ?夕方か?


 そんな感じに考え込んでいると、


「ねぇ。それより、陽葵ちゃん寂しがっていたって言ってたけど。って事は、拓磨君寂しがってたの?」


「へ?あっ…。」


 波瑠はニヤニヤしながら、また俺をからかうように「も」と言うのを強調して言ってきた。


 何だ?波瑠の奴、何かが少し変わった気がする。


 印象?雰囲気?本当によく分からんが、やけにグイグイ来る。


 だが、俺だってさっきから辱めを受けてるし、ここは俺からも少しからかってやるか。


 まだニヤニヤが止まっていない波瑠に、俺は言ってやった。


「そう言えば、波瑠はロスガ製菓の社長の娘だよな。」


「ん?そうだけど、それがどうしたの、拓磨君?」


「じゃあ、これからは『波瑠お嬢様』って、呼んだ方がいいよな!」


「お嬢様!?な、止めてよ。拓磨君!」


「社長の娘だし普通の事だろう。は・る・お・じょ・う・さ・ま!」


 俺は仕返しのため、わざとお嬢様の部分を強調しながらゆっくりと言った。


 そうすると、波瑠は


「お嬢様って呼ばないで!!」


 と口を膨らませ怒りながら、俺の左肩をポカポカと叩いて来た。


「いて、いてて、悪かった。」


「じゃあ、もう言わない?」


「それはどうかな~。」


「もう、分かるまで叩くからね。」


 そう言って、波瑠はまたそんなに痛くないポカポカ叩きをしてこようと拳を構えていたが、それを避けて俺は少し走り出した。


「あっ、こら~、拓磨君、逃げるな~!」


 波瑠も追いかけてきそうだったが後ろから、


「…きだ…まくん。」


 と何かぽつりと言った。


「うん?何か言ったか?」


「な、何でもないよ。」


 後ろに声を掛けたら、少し笑いながら返事が返って来た。


(小声で言ってみたけど、やっぱりまだ恥ずかしいなぁ。)


「ふ~ん。まぁ、それよりも俺のこと捕まえられるなら捕まえて見ろよ。波瑠。」


「もう、絶対に許さないんだから!」


 今度こそ波瑠が俺の事を追いかけてきた。


 そう言えば、なんでモヤモヤしたのか俺は分かった。それは、


(素直に俺も陽葵の様に寂しかったんだな。)


 何はともあれ、まだまだ俺達(私達)の同居生活は続くらしいから、波瑠(拓磨君)に一言いうなら。




 これからもよろしく(ね)。

 波瑠(拓磨君)。




 と心の中で言って、まだ冷たい夜道を(俺は波瑠に合わせながら)走り、帰宅していった。




→次回へ続く→







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 ―あとがき―


 まず最初に一言。



「最後の方になって、かなり遅れて書いてしまい、。」



 今回初めてシナリオ(小説)を書いて、右往左往しながら書いておりました。


 他にも沢山謝らないといけないことが(一話が一万字ごえやら、話がまだまだ拙い等々)一杯ありますが、ここまで書けたのは読んでくれる皆様のおかげです。


 まだこの作品は終わらないので、次も読んでくれると幸いです。(次も遅くなりますが…)


 また、他の作品も書こうと思っていますので、そちらも読んでくれると幸いです。(そっちもかなり遅くなりますが…)


 では、次の回(もしくは、別のお話)でお会いしましょう。

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お嬢様って呼ばないで!!! 夏和 祐雪 @ntyk

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