第8話
―数分前、波瑠の部屋―
私は、パジャマ姿でベッドの上に横になりながら二つの事で悩んでいた。
一つ目は、まぁ、それほどでもないけど、今日買った服はいつ着ようかなって言うこと。
(今度の土曜日にでも着れるかな?)
そんな些細なことより、二つ目は…、今日なんで小波さんと拓磨君が仲良くしてるとなんだかモヤモヤしたり、胸がチクチクしたのか。
拓磨君や陽葵ちゃんに聞くと何かわかるかなと思ったけど、拓磨君は『ゲーム酔い』って言ってて、それに関して陽葵ちゃんは『違うから』と言っていた。
あと、おばさんからメールが来た後、拓磨君をおいて少し先に行った時に、陽葵ちゃんに
『兄ちゃんの前では言わない方がいいよ。波瑠ちゃん。』
っと、そんなことを小声で言われたけど…、ますます分からなくなった。
(ゲーム酔いは分からないけど、何がどう違ったのかなぁ。それに何で拓磨君には言わない方がいいのかなぁ。)
わからないまま眠る訳にもいかない、というか、モヤモヤのままでは眠れなかった。
(他に誰か分かる人はいないかなぁ?)
友達にメールで聞くのもいいけど、十時過ぎにメールを送るのも明日に響いたりしたら申し訳ないし、もしかしたら寝てるかもしれないから聞くに聞けない。
陽葵ちゃんは、さっき一緒にお風呂入ったけど、なんだか眠たそうにしてたから、お部屋に行っても、もう寝てると思う。
何だか、余計に考えていたら眠くなくなっていた。
寝ないのも体に悪いし、一度、私は気持ちを落ち着かせるため、キッチンに行ってお水でも飲むことにした。
そうして、ベッドから起き上がり、廊下に出て、階段を降りるとリビングに誰かいる。
何気に、扉から覗くとおばさんがお風呂から出たばかりなのか、ソアーに座ってドライヤーで髪を乾かしていた。
「あれ?波瑠ちゃんどうしたの?」
「あ、いやあの、お水を取りに来ただけです。」
「そう?」
おばさんがこっちに気づいて、慌てちゃったけど、そういえば、相談できるのでは?
(いや、でも、時間掛かっちゃたら迷惑かもしれないし…、でもなぁ…。)
考え過ぎてだんだん頭がグルグルしてきたが、一か八か時間をあまりかけないでおばさんに聞くことに。
「あの、おばさん、ちょっといいですか?」
「うん?何、波瑠ちゃん?」
髪が渇いたのか、おばさんはドライヤーを一旦テーブルの上に置いて、話を聞いてくれる体制になってくれた。
「実は、…今日、拓磨君と小波さんって言う女の子と話している、拓磨君を見てるとなんかモヤモヤしたんです。」
「波瑠ちゃん!もう少し詳しく話して!!」
おばさんは目をキラキラにさせながら、聞いてきたが、もう少し詳しく?
「えっと、拓磨君と小波さんが仲良しなのはいいと思うんですが、二人が仲良しと考えると余計にモヤモヤするんです。」
そんな話をするとおばさんは顎を触って何か考えていると思っていたら、少し笑ってから口を開いた。
「波瑠ちゃんは、拓磨の事をどう思っているの?」
「拓磨君ですか?私は友達だと思っていますよ。」
私はいたって普通の質問だったので、普通に答えたつもりなのにおばさんはまた笑った。
「ふふ、友達ねぇ。私は、波瑠ちゃんのその意識のしかたは、友達以上もしくはそれ以外だと思うけどなぁ。」
「え?そう、ですか?」
「まぁ、波瑠ちゃんが拓磨の事を思う気持ちは、私には分かったけどね。」
「え!」
それを聞いて、私はすぐさま聞こうとしたが、その前におばさんが話し始めた。
「でも、自分なりに答えを出した方がいいから、これ以上は私の口からは言えないね。」
「…自分なりに答えを探す。」
「そんなに難しく考えなくても、何かのきっかけで分かるかもしれないから。」
結局答えは分からなかったけど、きっかけで分かるか。
もう少し考えたかったけど、リビングに置いてあった時計を見ると十一時を過ぎているので、おばさんにも迷惑が掛かると思い、話を終えないと。
「分かりました。私なりに考えてみます。わざわざ相談に乗ってもらってありがとうございました。」
「あまり答えられ無かったけどね。だけど、一言だけ言っておくけど。」
「何ですか?」
「早く気付いた方がいいよ。それじゃ、お休みね。」
そう言うとおばさんはドライヤーを片付けて、自室に戻っていってしまったけど、私はおばさんに話したことで気持ちが落ち着いてきた。
少し水を飲んだ後、私も自分の自室に戻った。
自室に戻る途中、何気なく拓磨君の部屋を見ると、まだ明かりが付いている。
(拓磨君の話しをした後だから行きにくいけど、流石に明日もあるから、注意しに行こう。)
そう思って、軽く扉を開けると寝息が聞こえ、見ると拓磨君はベッドの中に入って寝ている。
携帯ゲームがお腹の上にあるということは、おそらく寝落ちかな。
私は携帯ゲームを机の上に置いて、電気を消そうとした時、分かったことがあった。
(友達以上でよく勉強や身近な事でお世話をするから、つまり『親友』かな。)
何となくそう思いつつ、電気を消し、改めて私は自分の自室に戻った。
自室に戻ってようやっと眠くなり、目覚まし時計をいつもの時間にセットし、電気を消し、ベッドに入った時、ふと頭によぎったのは、陽葵ちゃんの『兄ちゃんの前では言わない方がいいよ。』という言葉だった。
(『親友』なら言ってもおかしくないけど、友達以上なのに話してはいけないってどういう事だろう?)
また納得のいかない事が出来たけど、時間も時間だし、色々あって疲れてきから寝よう。
そう思って目をつぶったけど、私は眠る前に一言だけ頭に浮かんだ言葉がある。それは、
(すぐに分かる。)
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