第18話 お仕置きです。
「ふん!」
俺は拳で軽く地面をパンチする。
ドゴォッ! と物凄い音がして、そこに大きな穴が開いた。直径……何メートルかはわかんないけど、確実にさっき
俺のはもっと深く、もっと範囲も広い。しかも素手ね。素手。
ちらりと
「シュッ!」
そう言いながら、俺がその場で
「シュッ、シュッ!」
今度は
「ぐはぁっ!」
そう言って、
はい、これでおしまい。山賊といえどもただの人間だからね。
俺はゆっくりと、しかしイカの墨吐き事件があったから油断をせずに、
「もうネタは割れているんだ。観念しろ、山賊さんよぉ!」
ちょっとカッコつけてそんなセリフを言ってみたけど、俺の目の前で気にもたれかかっているのは山賊じゃなかった。
フードを被った、小さな男の子だった。
「え、あれ? 山賊じゃない?」
どういうこと?
「ごほ、ごほっ! こんな強い用心棒がいるなんて……!」
お腹を押さえながら、男の子が言う。
えっと、これが正体……ってことなのか? つまり、この男の子が山賊に変身していて、そこからさらに一つ目の巨人に変身したってことでいいのかな?
「どんな理由があったのかは知らんが、商人の馬車を襲うのは感心しないな。しかもこんな小さな子供一人で――」
「子供じゃないから! ごほっ、いたた……」
男の子はまだお腹をさすって痛がっている。むこうが襲ってきたのは事実だから、こちらとしては正当防衛が成り立つはずだが、いかんせん、こんな小さな子供相手とわかっていたら……ここまで懲らしめることはしなかったな、と俺はちょっぴり反省した。
「すまん、ほら、立つんだ。馬車の中で話はきいてやるよ。事情が事情なら、何か助けてやれることがあるかもしれない」
俺が手を差し出すと、男の子は「一人で立てるし!」と言って、膝をがくがくさせながら立ち上がる。うーん、さっきの一撃が相当ダメージとして残っているな……しまったな。そんなことを思っていると、男の子がバランスを崩し、俺の方へ倒れてきた。
「おいっ、危なっ――」
ふにっ。
ん?
なんか両手に柔らかい何かを感じる。
ふにふにっ。
これは……?
俺の両方の掌は、男の子のちょうど胸の辺りを支えていた。
ふにふにっ。
ってことは……もしかして……お、おっ……
「ど、ど、どこ触って……この変態ぃぃ!」
スパァン!
男の子だと思ってたら、女の子でした。彼女の平手打ちは、俺の頬にクリティカルヒットした。
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