第4話 報酬を受け取ります。
「ちょっと待ってくれ! 報酬が半分? そりゃないぜ!」
王都キントレー、その城下町の中心にある冒険者ギルドにて。俺はギルドマスターであるムキーノのオヤジに向かって悪態をついていた。だって、報酬が半分だぜ? そりゃ誰でもそう言うだろ。
「お前、ちゃんと依頼書に目を通していたか? 『一つ、行商人を襲っている
そりゃそうだけどさぁ――あれは俺が壊したわけじゃなくて、
「はい、ニーナさん。これ、今回の報酬です。ごめんなさい、依頼主がお城の状態を見て決められたことなんで、うちらとしてもどうしようもなくて」
手渡しで小袋をもらう際に、ちょっとだけコレットちゃんの指が俺の手に触れた。それだけで、ドキっとした。しかもコレットちゃん、俺の耳元でささやいた。
「だから、ギルドからちょっとだけ追加しておきました。これで我慢してくださいね」
フオオオオ!
女の子が俺に、俺に近い! いい匂いが、いい匂いがするぅ!
俺は顔が真っ赤になって熱くなる。思わずコレットちゃんから離れて、ぶんぶんと顔を振った。
「あ……いや、そのね、こ、こ、コレットちゃんは何も悪くないんんだよ。わわわ悪いのは俺。そう、俺なんです!」
ドギマギして、変な行動をとっている俺を見て、ムキーノのオヤジがからかってくる。
「お前さあ、めちゃくちゃイケメンなのに、女の子を前にすると全然話できないのな! もしかしてあれか? そんだけイケメンでいいカラダしてんのに、エッ――」
パコーン!
最後まで喋らせないで、コレットが近くにあったお盆でムキーノのオヤジの頭を叩く。
「ニーナさん、こんなギルマスの言うことなんて気にしないでくださいね。ニーナさんにはニーナさんの良さがあるんですから」
コレットちゃん……なんていい子なんだ。でもね、ムキーノのオヤジの言う通りなんだよ。
女の子を目の前にすると、どうしてもドキドキしてしまって気軽におしゃべりなんてできないんだ。
まあ、ギルドのメンバーは男性がほとんどだから、特段困ったことはない……なんて、彼女に言えるはずもなく。
そんなことを思っていると、ムキーノのオヤジが言った。
「で、ニーナはこれから何か予定でもあるのか? よかったら一緒に夕飯でもどうだ。またあの話を聞かせてくれよ」
「あ、私も一緒にいいですか! 異世界転生? でしたっけ。その話、私も聞いてみたいです!」
異世界転生の話……初めてこのギルドにお世話になったときに、ギルドマスターであるこのオヤジ――ムキーノに説明したんだっけ。それをえらく興味深く聞き、信じてくれたからこそ今があるんだけど。なんかちょっと恥ずかしいというか、照れ臭いというか。
「ああ、いいぜ」
このギルドがなかったら、右も左も分からない異世界で今のような生活を送ることはできなかったかもしれない。そのお礼ってわけじゃないけど、俺の話ならいくらでもしてやるさ。
「当然、さっきの報酬で
ぽん、とムキーノが俺の肩に手を置いた。
「はぁ? そっちから誘っておいてなんだそれ!」
「え、いいんですか? ニーナさん! ありがとうございます!」
コレットちゃん! 俺をその可愛い顔で見つめないで!
「ももも、もちろんだとも! コレットちゃんなら……大歓迎だ!」
ああ、これは最初からその気だったな……。
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