第26話 挑め、中間考査!! vol.1

「さよならゴールデンウイーク! 転生徒の地位向上のため、来たる第1学期中間考査では好成績をあげること! でケス!」


 大型連休明け初日、りん先生のそんな指令が放課後の転生徒会室に響きわたった。


 ミスさかい・水着美少女コンテスト、通称いせコンへの代理出場クエストなんぞもはや過去の話。


 いま俺たち転生徒会の行く手には、早くも次なる試練が。

 1週間後にさし迫る中間考査が、たちはだかる強敵のようにダダーンと待ちうけているのだった。


 ここはテストで好成績をおさめ、転生徒に対する世間の目をやさしいものにしておきたいところ。

 ふうぞう学園長からも、大いにはげむよう通達があった。


 まあそもそも、学業といえば学生の本分。

 顧問のりん先生にゲキを飛ばされ、おなじみゆうかんぼうかいユーシヤを筆頭に、あん先輩も俺も気合をいれる。


「……フッ、ここはテストでしっかりいい点とって、ボクら転生徒の評判をググッとあげちゃおうじゃないか。なんたって、こっちには頭脳めいせきりん先生という最強の味方がついてる。勇気がたぎって100倍だぜ! さあ、ガンガンいっくよん!」


「ほんなら、うちはみなさんのテスト勉強がはかどるよう、毎日こころを込めて最高のお抹茶をてさせてもらいます!」


「いや、あん先輩! お抹茶は次の楽しみにとっておきませんか! というのが俺の提案です!」


 ところでさっきから、あますみれの姿を見かけない。


『前略


 真のいくさ乙女になるために、

 しばらく武者修行の旅に出ます。  草々』


 ……。

 この書き置きは、間違いなくアマゾネス属性のあますみれのものだろう。

 あの武芸脳キン娘め、逃げやがったな。

 珍しく敬語をつかっているあたり、相当あせって姿を消したらしい。


「ッケケ、ともかく中間考査開始までもう日がないでケス。おのおの、苦手科目を中心にこの私がみっちりたたき込んであげるでケスよ。覚悟するように! かいユーシヤ、数Ⅰと数Aの教科書を開くでケス!」


「ウッ、す、数学はボクもう十分かな……なんて、アッハハ。いまいち勇気がそそられないというか……」


「ッケケ! あん、物理のノートを出しなさいでケス!」


「ウッ、ぶ、物理よりまず、うちはみなさんのお抹茶をてへんと……」


「ッケケ! もう、さっさと現国の提出課題を見せるでケス!」


「ウッ、げ、現代の国語なら俺は日常会話でまにあってるんで……」


「何でケスか、3人とも! さあ四の五の言わず、ビシバシいくでケスよ!」


「「「お、オー!」」」


 こうして、俺たち転生徒会のテスト対策週間がスタートした!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る