第24話 モブ、あるいは悪魔の視点
ミス
その会場となった
名を、
大それた青春幻想や人生目標は持たず、趣味のアイドル撮影と推し活に没頭できるささやかな幸せの時間があれば、それ以上毎日に望むものはないという、つつましいモブ庶民だ。
しかし今日、
やや震えの残る手で、首から下げたデジタル一眼レフカメラの撮影データをしきりに確認する。
小型ディスプレイに映り込んでいるのは、青マントの下にはつらつとしたオーシャンブルーのビキニを身につけて凛とたたずむ美少女。
撮影と握手の願い出にこころよく応じてくれた、青髪碧眼の女の子。
「……い、
おでこに《勇》の紋章を持つ彼女は、勇者属性の転生徒だという。
アイドル以外の世事にまったく
世の多くの人たちのようには転生徒への敵意や偏見を抱いていないが、また興味もない。どうでもよかったのだ。
だがさっきの一瞬で、すべてが変わってしまった。
恋してしまったのだ。
あの、
「……い、いままで追いかけてきたどんなアイドルとも違う。か、彼女こそ、僕の運命の人だ」
澄んだまなざし。
臆することのない、感動的なスピーチ。
ひらめく青マントからときおりあらわに見える、
「……そうさ。か、彼女こそ、僕が人生をかけて推したい人だ。ああ、彼女の幸せのためなら、ぼ、僕は魂さえ差しだせる。あの笑顔のためなら、いっそ悪魔にだってこの魂を売り渡したいくらいだ!」
そう願った瞬間――。
わななく自分の手もとが暗く光ったような気さえして。
「?」
すると直後、カメラを持っていたはずの片手が、いつのまにか分厚い1冊の書物を
表紙に不気味な
『――よう、オイラは魔導書グリーモザ。たったいま《デーモン》属性の転生徒に覚醒したお前の、固有アイテムだ』
まるで
『よろしくやろうぜ、
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