第4話 性騎士らしい性欲で良いね
『好きに揮いなさい。培ってきた力も
☆☆☆
「誰だよお前……」
夢の中で好き勝手生きろとお節介的な助言を受けた件について。
普通に誰だよお前。
好き勝手生きるとか当たり前だろ。言われんでも好き勝手振る舞ってるし好き勝手生きてるわ!
……まあ、王命で王都に行くのは、ね?
仕方ないんよ。おけ?
なんて自己保身に走っていると、聞き覚えのある声が聴こえた。
「起きましたか」
「俺どんくらい寝てて────え、誰?」
「メイです」
ふぁっ!?
え、メイ? このドチャクソ美人が!?
眼の前にいたのは、金髪ロングの超絶美人。
顔がえけつない程整ってるのもそうだが、吸い込まれるような切れ長の金色の瞳、雪化粧のように幻想的で白い肌。
紛うことなきドタイプの美人ですありがとうございます。
つか良く見れば例の黒い鎧は纏ってるけど……何で兜取ってんだ? というかあのスキル全力で使ってから記憶ないんだけども……。
すると、妙にキラキラした瞳で、メイがバッと片膝を付いて頭を下げて言う。
「これまでの非礼、お詫びいたします。貴方様……アルス様は紛うことなき聖騎士だということが分かりました。私の攻撃を防いだあの盾。そして強力無比な攻撃と美麗な技術。そして、アダマンタイト製の私の兜を容易く打ち砕いた技。どれをとっても完璧でございます。私、メイ、感銘いたしました」
「…………」
めっちゃ喋るじゃんコイツ。こわ。
……なんのこと? とか言える雰囲気じゃねーんだが。十中八九俺が意識を飛ばした後の出来事なんだろうけどさ。
え、俺がメイを倒したって? 兜までぶっ壊して? ムリムリムリ、何言ってんだお前できるわけねーだろ。
……あの夢で変なアドバイスしてきたヤツ。
姿も靄で覆われてて知らんけど、アイツが何かした可能性は十分にあるな。
──まあ、とりあえず好都合ってことで頷いとこ!
「あぁ。まあ、当然……だな」
「……ですが、最初からあの技を使わなかった理由は何ですか?」
「え、えーと、あれだよ。メイの力を試してたんだよ。【黒騎士】の力を確かめたくてな!」
「なるほど、そうでしたか。そんな深謀遠慮があったとはつゆ知らず」
んなわけねーだろ適当だよボケ!
180°態度が変わってるんですけど。
やりづれねぇなクソが。
……とはいえ美人に傅かれるのは素晴らしい快感ですがね……フフ。
「ってことは俺が【聖騎士】ってことも分かったし予定通り王都に行く感じ?」
「ええ、お約束どおり王都までお連れし、王と謁見していただきます」
「了解。何をするのかはまだ教えてくれないのか?」
「そこから先は私の管轄ではないので、お答えすることはできません。申し訳ありません……」
しゅんっとしょげるメイ。
……そんな可愛い表情するタイプじゃねぇだろ!! 今更そんな表情するな! 好きになっちまうだろうが!!
勿論声には出さんがな。
俺は自重できる変態なんだ。
例え馬車の中で息子がおっ勃つことがあっても、華麗に足を組んで誤魔化すことができるのだ。
そんな配慮に溢れた俺が性欲に支配されて行動するわけがない。
『好きに揮いなさい。培ってきた力も
ブンブンと頭を振る。
何で夢の中の出来事を思い出すんだ俺は。
人間の本能に向かって誘惑してくるヤツは碌でも無いって相場が決まってんだよ。
「あ、ちなみに俺ってどのくらい寝てた?」
「一日半ですね。もう王都に着きますよ」
「ふぁっ!?」
金髪美人と俺の二人きりドキドキ野営は!?!?
無いの!?!? じゃあ死ね!!!!!!
御者? 知らない子ですねぇ。
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