『地球の進化はいま始まる』

やましん(テンパー)

『地球の進化はいま始まる』


 『これは、フィクションです。』




 小惑星帯探査衛星『ミタラ・シダンゴ』は、首尾よく謎の小惑星『マネ・キネコ』から、岩石サンプルを持ち帰った。


 国内に着陸する場所がないので、タレルジャン王国の、ガマダナン砂漠に着陸させてもらった。


 封印は完璧なはずだった。


 ありのこ一匹、ウィルス一粒、脱出は不可能なケースに入れられているからだ。


 『マネ・キネコ』は、非常に不可思議な小惑星と見られていた。


 もしかしから、太陽系の成立よりも、早くにできていたかもしれないのだ。


 つまり、外宇宙から紛れ込んできた、迷子の小惑星かもしれない。


 しかし、くわしくは、岩石をお持ち帰りにするしかない。


 それは、慎重に行われたはずだった。


 しかし、まさか、未知の知性が入り込んでいて、中から開けられるという事態は、あまり想定していなかった。


 しかも、それは、ウィルス大の存在だったので、人類の目には入らなかったのである。


 実際のところ、なにがどうなったのかは、良く解らなかったのだが、回収されたカプセルから、その知性は脱出して、近くにいた人から、どんどんと、寄生をし始めたのである。


 感染力は猛烈に強く早かった。



       💊😷🏥



 やーやーしんは、市内のうどん屋さんで、うどん定食を頂いていた。


 わりに、腰が強いおうどんで、厚めの蒲鉾、さらに、適当なおあげが乗っかり、別に、お漬け物と、めざしが、さんめざし付いていて、あと、ご飯が大きめのおわんに盛ってある。


 それで、750ドリムであった。


 丁度、ニュースの時間だった。


 『ニュースれす。官房長官の緊急会見です。』


 やや太めの、赤地官房長官が、会見場にあらわれた。


 『え、今日は、大切なお話をいたします。我が国の探査機、ミタラ・シダンゴ』は、先に重要な業績を上げました。我々は、ついに、新しい知性を発見しました。』


 ざわざわ、と、会場内は沸き立った。


 『え、お静かに聴いてください。その知性は、かつて、宇宙の彼方で生まれた、マン・ネーリという種族です。それは、人類など遥かに及ばない知性を持ちます。彼らは、ふだんは、目には見えないのですが、猛烈な速度で移動します。そうして、人類を宿主として、その身体を、マン・ネーリ化させます。マン・ネーリになった人類は、さらに大量のマン・ネーリ菌を拡散します。やく、半月で、全人類は、マン・ネーリに変化します。マン・ネーリになったらば、それはもう、素晴らしい世界が待っています。あらゆる病気から開放され、貨幣も戦争も不要になります。さらに、宇宙にも、自由自在に進出できるのです。』


 赤血長官は、ぷわー、っと膨れて爆発した。


 しかし、5分後にはもとの姿に戻ってしまった。


 会見場にいた人たちは、どんどん、マン・ネーリ化したのである。

 

       🍚



 『そら、大変だあ。』


 やーやーしんは、たまたま、七味唐辛子をおうどんに入れていた。


 マン・ネーリは、七味唐辛子がひどく苦手だった。


 だから、やーやーしんは、うどん屋のマスターと共に、助かったのである。


 マン・ネーリは、七味唐辛子人と認定した人類は、徹底的に避けて、ロボットを駆使して監禁した。理由は、あまり、解らない。


 が、それだけの理由で、やーやーしんは、進化の過程から排除されたのである。


 さらに、七味唐辛子人は、間も無く、全員、月に隔離されたのだ。



 で、しかし、別に、それから、地球がどうなった、というわけでもない。 

 

 相変わらずのことなのであった。


 宇宙の謎は、マン・ネーリといえども、簡単に解明できるようなものではなく、そんなに、底は浅くはなかったのである。


 ちなみに、七味唐辛子人は、月で一大文明を築いたのだ。


 七味唐辛子入りのうどんが、街に溢れていて、マン・ネーリは、あえては、近寄らなかった。


 地球のマン・ネーリは、しだいにマンネリ化したのである。


 やがて、月には、かぐや姫が生まれた。


 第1次月地球戦争である。

 


      🍜


 

    🙇🙇🙇🙇🙇

 


 


 


 

 

 


 


 

 

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『地球の進化はいま始まる』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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