2章
第5話
ポーン
目覚ましが鳴る前にSNSの着信音で目が醒める。
確認すると、今日同伴予定ののぞむさんからだ。
寝起きだったが内容を見て笑みが溢れる。
「ふふっ。相変わらずのぞむさんらしい内容だなぁ。もっと遠慮しなくていいのにな。」
そう呟き、せっかく早起きしたしこのまま起きようかな、と思いベットから立ち上がる。
のぞむさんがお店に来るようになって1年半になる。
始めてあった日のことは今でも覚えている。
お会計の直前に席についたのが始めての出会いだった。
実際にお話しできたのは10分もなかった気がするが、他のお客さんと違って横に座っても嫌な空気がなかったのがすごく印象的だった。
この仕事は楽しいし嫌いではないが、どうしても視線に不快感は混じるのが常だ。
でも、のぞむさんは違った。
確かにドレスの胸元を見てくる視線はあったがすぐに私の顔を見てずっと話をしてくれた。
その時の表情もすごく優しい表情だったのを覚えている。
どうしてももう一度会いたくなり、普段は初回でついた人には教えない連絡先を自分から交換してずっと連絡を続けた。
おかげでのぞむさんはお店に定期的にきてくれる様になった。
ただ問題が一つあったのは、あの人は予防線を以上に張る癖があったことだ。
毎日連絡をとっていれば、“熱心な営業をしている”と思われるし、同伴をしてもらった時に私の希望なので安いお店に行くと“お金はその分お店で使え”と思っていると勘違いをされているの。
正直なところまさかここまでとは思っていなかったのよね。
なんならあろうことか、ヘルプでついた子に私が熱心に営業メールを毎日する熱心さに負けて遊びにくる様になったと言っていたことだ。
私だって営業相手は選んでいるし、SNSの通知で返事を返さないお客さんがいることも教えたのだが、あの人はいまだに私が営業メールを送っているのだと勘違いをしている。
これ以上は逆効果だと思い、今は何日おきかに頻度を減らしているが、それも営業と思われているのかしら。
とりあえずは、今日ものぞむさんと同伴からアフターまで一緒にいれるのは確定だ。
あの人の優しいところはお願いすれば、無理のない範囲で無理をしてくれるところね。
本当は帰りたいのかもしれないけどお店終わりに遊びに行ったり、飲みに行ったりするのにいつも付き合ってくれる。
正直迷惑になっているのかもしれないが、あの人が離れていくまでは甘えさせてもらえる関係でいたいと思うな。
そのためにも今日もみはるとして綺麗な私でおでかけしないとね。
お風呂に入ったり準備をがんばろう!
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