序章 漂流者ツバキ
ツバキは王国に流れ着いた旅人である。
齢は十五。低身長で白い髪を短く揃え、筋肉の着いた無駄のない肢体をしていた。
そして何より皆白い肌をしている中、彼女だけが褐色のような肌を持っていた。
だが彼女は負けず、この地から逃れずに働き始めた。
衆目は彼女を嫌ったが、そのような風説なんて死の危険が蔓延る故郷に比べればずっとマシなのだと。
彼女の持つ芸術的センスと、故郷でかつて習った技を活かしてカルラシード家の庭師として駄目元で応募してみた所、そのセンスが目に留まり見事合格し、庭師としてメイドになる事が出来たのだ。
しかし喜ぶのもつかの間、その肌の色から忌み嫌われ、ありもしない風説を流され始める。そのぶっきらぼうさもそれに拍車をかけた。
そして挙句の果てにはそのセンスと腕前に嫉妬し、庭師の中でも段々と浮き始めていた。
そして彼女は「流刑地」であるカルラシード家次女に仕えよと命じられる。
しかしろくに事情に興味もない彼女は、当然の如く返答して喜んだ。
王国に仕える訳でなく矜持がある訳でもなかったからだ。
そして辺境の地へと飛ばされる。
病弱な次女の名は、レィナータ=フォン=カルラシード。
第六継承権を持つが、元々病弱で、すぐに死んでしまうような体の弱さを持った儚い少女であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます