背を追いかけること。
あれからどれくらいたっただろうか。と語り始めるには幾分か期間が狭すぎるだろう。
まさかの”次の日である。”
いくらこういうものを書く僕だって、こんなギャグマンガのような始まり方はしたいとは思わない。だけども、なぜだろうか。昨日から今日までのその時間はとてつもなく長く、僕の中ではこの書き出しかしっくりくるほどだ。
僕の人生すべてをいくら細かく見ようと、僕は人を好きになったことがないし、つい先日までその感覚を手に取るようにわかるまでではなかった。だけども、今の僕は違う。先日の出来事が、僕をステップアップさせたんだ。
当時の僕は意識をするなどという概念がなかった。だからなのか、彼女のことをみてドキドキするだとか、話すのに緊張するだとか。そういうのはなかった。もしかしたら、その感覚がない故に、僕の記憶にそのような記録がされていないのかもしれない。本当のところどうであろうと、割と強い人間だったのだろう。これを強いと表現することが果たして正しいのか、わからないが。何はともあれ、割と積極的に話しに行ったような覚えがある。
「好きの感覚を先日知った」と書いたが、なにも好きの感覚を知らないままでいようとしていたわけではない。周りがそういうように成長していくからやはり知りたくなってしまう。隣の人がこそこそスマホを見ていたら見たいという感情がなくとも、すこしくらいは「何をしているのか」と気になってしまう。その程度のことであった。だから自分なりに知る努力をしていた。いまこういう風に自分の感覚でつかめるようになってから言うのもあれだとは思うが、果たして努力してつかみ取るものなのかはわからない。「不意打ち」のような、いつ来るかわかりえないものであると思っている。(先ほども書いたね。)だからこそ、特にそういう努力をする必要はないのだと思う。しいて言えば、待つ努力だろうか。
自分なりに小説やそういった雑誌などを読み漁り、少し考えたことがあった。世の中に存在する「恋愛・恋」の話を考えた。学校のテストで考えたから100点が取れるわけではないように、僕もその先の答えがどうしても浮かばなかった。「浮かんだけども、それが正解かわからなかった。」のではなく、単純に思いつかなかったんだ。果てしなく奥の深いものなのか、それとも僕の考えるその先が全く見当違いのものなのか、僕にとってはその真相すらもわからないままであった。
いつしかそういう風に考えることすらをやめた。いつからそうだったかすらもわからない。ただ、自然とそういう風になっていったことはわかっている。誰かに言われたからとか、そういうわけではない。僕は今こうして感覚をつかんだ今でも、その行動が間違いだったなんて思わない。むしろ、流されるがままを選択した自分はかなり賢いのではないかと、考えてしまったくらいには肯定している。きっと、その時の自分がないと、僕がこういうように感覚を持ち自覚することも、こんな風に自らのことを語ることもなかったのだろう。それらすべてが過去の自分の行いによるものであると思っている。平行世界なんてものが話題に出る世界であるが、そんなものを気にしたって意味ないんだ。所詮SFでしかないものに縋るよりかは、幾分か現実に目を向けることができている自分をほめたたえたい。
僕は勇気がない。
好き、という感情は一方的なものだろう。当たり前だ、双方好きであればそれは世の中でいう「相思相愛」というものである。僕と彼女がそういう関係なのかはわからないし、知ろうとも思わない。もし知ったとしても、僕の好きの気持ちは揺らがないと思う。相手にとって迷惑だと思うなら、心の奥底に秘めておくといいだろう。その気持ちをわざわざ僕は捨てる必要はないと思っている。
片思い小説の振られた後みたいな文章を書いた後で申し訳ないとは思っているのだが、いずれにせよ気持ちを伝える場というのは「自らの力で」設けるべきだろう。まず僕が、自らの力というところにこだわるのか。不思議に思われても仕方ないかもしれないが、「当事者の気持ちを持つ・意識を持つ」必要があると思っているからである。よくある学生の恋愛シーンで「体育大会で告白をせかされる」「修学旅行で告白をせかされる」「好きを密告する」とか。どれもよくある携帯小説の青春がテーマのものに乗ってそうなものではあるが、実際にこれについて考えるとすべてにおいて「当事者意識を持たないまま、恋愛を始めようとしている」ということがわかる。よく告白を渋る男どもの言い訳(べつに悪く言ってないよ?)として「心の準備が……」なんて言う人がいる。実はこれってある程度のラインまでは重要だと思う。結局投げやりに告白をしたとて、その気持ちは相手に見透かされるだろう。それは別に特殊能力や相手の特性でも何でもない。嘘をついている奴がそいつの動きで分かるように、すべてのものでもそういうようなものであるだろう。相手の気持ちなんてこれっぽっちもわからないが、「なんかそれっぽい感じがするな」という感は中らずと雖も遠からずという感じで働くであろう。結局、しっかりとした準備をしないとあしらわれて終わってしまうのである。
勇気がないというのは、僕が彼女に恋心を抱いていること、それを伝えていいものなのか否か。僕が彼女に思いを伝えたら、もしかしたら彼女が僕から離れてしまうのではないのか。もしかしたら僕を嫌ってしまうのではないのか。今より関係性が後退すること、そのことに僕はおびえている。だから、僕は勇気を出せない。
僕が思うに、告白は彼女を追い越して振り向くことだと思う。
僕は彼女に追いつくため一生懸命追いかけてきた。それはいろいろな努力や想いをカタチにすることなど多種多様だろう。それらすべてが僕のエネルギー源となり、彼女を追い続けた。そしてそのエネルギーが最高潮になったとき、その時にこそ彼女と僕の順位が入れ替わる。競馬で言う、追い込み馬のような存在が僕なんだろう。逃げ馬という彼女を追い越すことを目標とした戦略、つまり人生だ。それが、最近僕であった。
よく言われることのひとつに、「恋は熱しやすく、冷めやすい。」と、論じられるときがあるだろう。僕もその理論を肯定する。だが、それがすべての人に当てはまるかといわれると、そうとは思わない。
例えば、僕が恋に熱しやすく、冷めやすい人だとしよう。僕が恋こいすると、その相手にいわゆる「片思いする」期間が生まれるわけだ。その期間の感情はとても『THE・恋』のようなもので、「好きだな。」や「もっと知りたい。」、「もっと一緒にいたい。」という感情が湧き出てくると思う。もっと踏み込んだ話をすると、「”いっしょ”になりたい」という感情なども生まれるだろう。何ら不思議なことではない。間違っていない感情なのである。だけども、決してこれらが正しいとするつもりはない。そのあと、無事結ばれたということにしよう。そうすると、一気に熱が冷める。ここがミソなのである。付き合った瞬間に、興味が薄れてしまうのだ。その感情が薄まってしまうのである。
ここからは僕の勝手な考えだ。このようなことに心当たりのある人間は「恋という事象に恋している」のではないのか、と思っている。というのも、恋もいろいろあり「追いかける恋」や「じれったい恋」などそれらは同じようで少し違う恋であって、千差万別だろう。それらの事象が引き起こす「独特の感覚」に彼らは恋をしている。いや、「毒されている」という表現のほうが適切だろうか。その独特な関係性とは多種多様であるから一緒くたにするのは無理だろうが、強引にまとめるのなら「ある種のスリル・感情のときめき」と表現するのが適当だろう。
そして、結ばれたその時。「僕は君と一緒、君は僕と一緒」というモノを獲得したときに、恋のような不安定な関係性や駆け引きのようなドキドキ、それらすべてが消滅してしまう。「僕と君はもうお互いのものであって、ほかの誰にもこの関係性を邪魔させませんよ」というのをお互いに確認し合ったその時、お互いは恋仲ではなく、認め合う・許容し合う中になる。このタイミングで、先に出したようなひとは「冷めてしまう」のであると思う。
周りから見たら僕もこうなのだろうか。きっと僕自身を一人称視点で見ると「そうじゃない」ということができるだろう。それは自分の顔を直接見ることができないように、自分はそうなっていないと判断するような状態。こんな状態を認知バイアスと言っただろうか。とにかく、自分視点ではそうだろう。
だけど、自分自身を俯瞰して考えたらどうなるのであろうか。世の中に先ほど挙げた「恋に熱しやすく、冷めやすい。」のような話題がよく出回っていくということは、決して珍しいものではないがよくあるとも言わない。というところなのだろう。つまり、僕という人間の恋を周りの人が見たときには、きっと大衆的な事例にはめてしまうだろう。それを悪いとは言わない。世界に星の数ほどいる人間の中で、僕という人間を例外として世間の人が判断するのは少々無理がある。それをどうこうしろというのは間違っても口に出さないし、出すつもりもない。
だからこそ、僕は努力をする。
彼女に対するこの感情が一時のものではなく、永遠に続くものであると。付き合った程度のライフイベントで僕と君の関係性が壊れるわけはがないということを。
正直、僕は不安だ。まだこの感情を知ってから数日であるが故に、この先どう言う風に進んでいくのか。どこかの大学のホームページに乗っていたような気がする言葉だが、「為せば成る、為さなくてもなるようにはなる」というもの。僕はそれの「為せば成る」を目指している。「為さなくもなるようにはなる」のような、自分の意思決定に基づかない人生を歩みたくない。僕の人生は僕自身のもので、この人生を描いた絵日記も、僕自身しか筆を持っていないただひとつのものなのである。
僕が目指すその先は『自分の力でつかみ取る未来』である。絶対に、つかんで見せる。
この時、僕の
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