第4話 街灯インタビュー 下

ロンドンの街、街灯が刺さり、石のレンガが地面を彩る、人々が絶えない道が幾重も交差し、真ん中には透明な水を吹き出した噴水。

共に響いた女性の笑い声。


街行く人たちがあまりの大きな笑い声に思わず足を止めて見いってしまう、注目が殺到する中、男はもうダメだと、手を胸の上で組み少しだけ穏やかな顔をしていた。


ジャックが「え笑われた、」とちょっとだけショックを受けて固まっていると、ただその辺を歩いていた常連のおじさんが声を上げる。


「失礼だぞ君!このニパーくんは優しい子だと街の親御さんに知られている、私の愛娘にも好かれているんだぞ。


それに人の嬉しい事を笑うなんて、君たち記者はいつも非常識だ。」


「私たちはそのようなことは!」

怖い人への対応は習わなくても、真っ当に批判をしている方の対応は教えられている。

即座に男が否定をしたが、

声は止まなかった。


「そうだそうだ」

「あの女の人、突然話しかけてきてびっくりしたのよ〜」

「さっきのインタビューでバスが出ちゃって、仕事に遅れたんだぞ。」

「あの人昨日噴水で泳いでなかったかしら。」

その記者に向かって街の住人達が口々に、

真実か嘘かは定かではないが、おじさんの一声を親鳥に雛鳥達が続く。


「すいま…そのギャップがあるなと思っ…」

人間から出る一言一言など小さい、何十と言う人が重なった声の前では、一人の女の喘ぎ声(苦しそうな声ってことだからね!)なんて届かない。


「マズイマズイ、モナハンさん一旦帰りますよ」向き合おうとしてるモハナンの手を引いて少しの間だけ隠れようと走り出す。


「ちょっと待っ、皆さんす、すいません!」


街の住人達の注目はとっくに親鳥から記者に移り、記者たちが離れると


今まで積極的に批判していたような人も、街の人達も離れていく。


残ったのは脚の悪い親鳥と、仕事人の蛇。

状況だけを見たらすぐに警察を呼びそうな物だが、見た目に似合わない柔らかい、暖かみのある、会話が二人を包む。


「ありがとうございますおじさん」


「いやいやわしの友人が笑われたのだ

こうするしか無かったよ。」

「友人だなんて、私で良いんですか?」


「いやいや悲しいことを言わないでくれ、

私はもうとっくに友人だと思っていたよ。

いい夢じゃないか、

笑顔が素敵と言われる事なんて。」


ありがとうございます、などいろいろな意味を込めた渾身の笑顔で対応するが、

その顔は、獲物を狙うように大きく開かれた瞳孔、口端は吊り上がりどうしても邪悪な顔に見えてしまう。


「そうそう十分笑顔もステ…

笑顔も…

笑顔…


…まあニパーくんは心が綺麗だ。

娘も街の子供たちもよく一緒に遊んでとせがんでくれるじゃないか、それは君の魅力だ。


……本当にいい夢だと思うよ。」


「言ってはくれないんですね。」


「すまんなぁ友人だからこそだよ。」



ーーー

1、2話は少し違う作品になりましたけど、

どうですか?


模索中なのでよろしければご意見等ございましたら、よろしくお願いします。

この通り!_| ̄|( ͡° ͜ʖ ͡°)<ニコッ

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