第15話 粘着PK 8
「で? なんで俺が呼ばれなきゃならないんだ? あ、サインお願いしてもいいですか?」
カガミは、あかりに色紙とペンを渡した。あかりはサインを書いてカガミに色紙を渡した。
「だって、私初心者だからSOOのマップ全然知らないもん。マップのこと教えてよ。君、情報屋なんでしょ? 私のこともノワールさんにペラペラ話してたみたいだし」
「げっ……あ、サインありがとうございます。部屋に飾らせて貰います」
「い、いえ……」
遮光カーテンが閉じられた応接室で、カガミを新たに加えた5人は大きなホログラムのマップを囲んだ。マップにはいくつもの惑星が表示されている。
「カガミ、この条件に一致する場所を教えて。そこで粘着PKを狩る。存在しないなら存在しないって教えて」
キララは、色々な事項が箇条書きされたメモをカガミに渡した。
①滅多に人が来ない。
②付近に1箇所だけワープポータルが存在する。
③付近にワープポータルを監視できる2階建て以上の廃墟がある。
④付近に配信ネタになるようなものがある。
「差し出がましいようだが、そもそも粘着PKをやめさせることなんてできないと思うぞ」
カガミはそう言ってメモを折り畳むと、マップをテキパキと操作した。迷うことなく一つの惑星をピックアップし、どんどんマップを拡大していく。
「ワープポータルにワープして来た粘着PKを狙撃でリスキルするつもりだろう。だが、リスキルされた程度で粘着をやめるような奴なら、ハナから粘着PKなんてやってないさ。キララがボディガードとしてついている配信なら、粘着PKもあかりさんに手出しはできないだろうが、毎回毎回キララが配信に付き合うのは現実的じゃないだろう」
「た、たしかに……キララさんの都合もありますもんね……」
あかりは静かに俯いた。
「カガミ様、あかり様、それは問題ありません。キララ様のレベルは4、レベル90のプレイヤーがレベル4のキララ様にキルされれば、
「なっ……」
カガミの手が止まる。ノワールの恐ろしい計画に、あかりは思わず口を手で覆う。ヤマモトもゾッとした様子で目を見開いた。
「レベル60からレベル90までレベルを上げるのに、何百時間掛かると思っているんだ! なんて恐ろしいことを────!」
「ま、まさか、キララさん以外には解決出来ないって……そういう……」
怯えるあかりにノワールは頷いた。
粘着PKをするような人間が、ほんの数回リスキルをされたくらいで粘着をやめるとはノワールも考えていない。粘着PKをやめさせるには、粘着PKどころか、そもそもPKができないように牙を折るしかない。それができるのは、レベル4ながら格上を倒せるキララだけだ。
「それでもしつこく粘着をするようなら、キララ様と同じ一桁レベルになるまでキララ様にそのプレイヤーを粘着PKして頂きます。そうすれば、戦闘の苦手なあかり様でも粘着PKを一撃で撃退できるようになるでしょうから」
平気でそんなことを口走る、可愛らしいドレスの少女をカガミは見つめた。
(鉄靴の魔女……白雪姫の謀略の王妃め……!)
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