第16話 粘着PK 9
カガミはマップを操作し、辺境の惑星のある地点を拡大した。キララの注文通り、付近に一か所だけワープポイントがあり、それを見張れる廃墟があり、そして、廃墟を挟んだワープポイントの反対側に小さな池があった。
「人気については、最近ここに行ってないから正直わからん。だが、ここは辺境だし、ここで可能なことは他のメジャーなワープ先で可能だから滅多に人は来ないと思う。どうだ、概ね注文通りだと思うが」
「あかり
カガミは、どさくさ紛れであかりのことを『ちゃん』付けしているキララを、恨めしそうに睨んだ。
「はっ、はい! 池があるので、最近よくやってる釣り雑談配信ができます!」
「いいね……さすがは情報屋だね、カガミのお兄さん。どうやって私の狙撃の成功についての情報を掴んだのかわからない情報屋のカガミのお兄さん、さすがのマップ知識だね」
カガミは苦い顔をして怯んだ。
「ぐっ……気づいていたか……だが、情報ソースは教えられないな! 情報屋のノウハウは無料じゃないんだ! だが、言っておくがストーカーしていたわけじゃないからな!」
「……SOOにはチャットルーム機能があり、特定のチャットルームに特定の人種がたむろしていることがままあります。例えば、
「ノワールさん!!!」
「あくまで可能性の話です」
「くすくす……よかった、カガミはストーカーのお兄さんなのかと思ってた」
ノウハウをバラされて頭を抱えるカガミを見て、キララは相変わらずの無表情で笑った。ヤマモトとあかりは首を傾げた。
「話が脱線したね、本題に戻ろう」
(こいつ……自分で脱線させたくせに……!)
キララは、何か言いたげなカガミを無視してマップを見つめた。
「キララ様、何か問題が?」
「池と廃墟の距離が近い……あかりちゃんの配信に、ヤトノカミの重い銃声が乗っちゃうかもしれない」
池から廃墟まで50mも離れていない。釣り雑談をしている後ろで対戦艦狙撃銃の砲声が響いていたら、配信に影響が出てしまうだろう。いくら粘着PKを狩るためとは言え、それでは本末転倒である。
「ご安心ください、キララ様。鉄靴の魔女では、『
「いいね、さすがは一流専門店だね」
「当店の武器を実戦で使っていただくことで購入時の参考にしていただく、言わば
ノワールのゴシックジョークにより、応接室が
「……ジョークでございます」
「私は建物の二階に、ワープポイントを見張れる潜伏拠点を作って、そこでワープポイントを見張る。配信の日程が決まったら連絡して欲しい。私は今貯金で生活中で暇だから、日程はいつでも合わせられる」
「はっ、はい! わかりました、よろしくお願いします!」
あかりはそう言って頭を下げた。ノワールは一人悲しげに暗い天井を見つめた。ヤマモトは、何か思い出したように口を開く。
「あの、キララさん。そういえば、粘着PKの外見・名前などをまだご存知ないのでは?」
「あぁ……ワープポイントにワープしてきたプレイヤーは全員リスキルするつもりだったから正直どうでもいいんだけど、一応教えておいてもらおうかな」
とんでもないことを口走るキララに、ノワール以外の一同は啞然とした。
「……粘着PKの名前は『
「……よくわかった。ありがとう、ヤマモトさん」
そう言ってキララはヤマモトを見つめた。
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