二章  二ノ回

現在地/アルアの街/外周区・西/宿屋『木漏れ日の黒猫』内・食堂兼酒場


【此処からは名無しの彼の心の声をお楽しみ下さい】


改めてこの世界に来てから初めての食事だ。彼の目の前に広がる色々な食事…主食はパンと呼ばれる物

で色は黒っぽくみんな黒パンと呼んでいるそうだ。次にコール(キャベツ)のザワークラウトで、カートフェルズッペ(ジャガイモのスープ)、ブラットヴルストと呼ばれる獣肉を細切り又はミンチにした物を腸詰めした細長い物(要はソーセージ)、シュニッツェルという獣肉を叩き薄く伸ばし、香辛料を使い下味を付けて小麦と卵とパン粉と呼ばれるパンを擦り下ろし細かくした物を、小麦、卵、パン粉の順に獣肉に付けて油で揚げた料理(要はカツレツ)が出てきて、銀貨一枚と銅貨五枚でこれだけ出てくるのか?と思うほどに出てきた。

話しを聞くと大体毎回この量が出てくるのでギリギリ赤字にならないように調整はしているそうだ。

向こうに居た世界での旅籠屋はたごや(現在で言う旅館にあたる)では一汁一菜が基本で、もう少し欲しい時は皿が追加出来て煮魚だと御馳走ごちそうだと言われていたのに…それで大体、百五十文ひゃくごじゅうもん三百文さんびゃくもんというのが、旅籠での常識だったのに世界が違うだけで拙者の常識がぶっ飛びそうだ。こちらの世界の食器でナイフとフォークとスプーンは以前に武市たけち先生に使い方を教えて頂いたお陰で何とかなりそうだ!

さて、味の方はというと…ザワークラウトは結構酸味があり、酢の物と考えれば結構美味い…!それにだ、この野菜は確か武市先生が以前教えてくれた甘藍かんらん(キャベツの意)という観賞用植物だったはず…それにしても何というか爽やかで青臭いがそれもそれで良い調和をしておられる。次にカートフェルズッペというトロミがあるスープを頂いた…おおおおおお、これは美味だ!!!これがあの芋とは思えぬ豊かな味わい、これは牛の乳を混ぜて味の深みを出しておられるのでないだろうか。もしかすると時代が変わればこういう洋物が料理として入ってきたのかも知れない。

ふと、武市先生に聞いた事がある食べ方を思い出した。黒パンを一口サイズに千切り、このスープに付けて食べると…ほおおおおおおおおおおお!淡白な味わいの黒パンにスープを付ける事により口の中に広がる芳醇な味わいがああああ!拙者の人生においてこの様な味を知れた事が何よりも貴重だ。

折角だ、次は…そうだな、ブラットヴルストというそーせーじ?というのを食べてみよう……ナイフとフォークを危なげだが一口に切り分けフォークに刺して口に運ぶ。何という事でしょう、獣肉と言われててもっと獣臭く脂っぽい物と思ってたがかなり美味い!香辛料のお陰なんだろうか…それは鼻から抜ける香りまでが美味い!!!うわぁああああ、これは美味しい…獣肉というのはこういう加工をする事で美味い物へと変貌するという事を教えて頂いたような気分である。

まだ、食べてないのは…シュニッツェルという油で揚げた獣肉だそうだが、こちらもナイフとフォークで切り分けて…おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!これは何とも言えない…!外はサクサクしてて中の獣肉は薄いがかなりの存在感があり、下味をしっかりとしてあるから無駄に獣臭くなくしっかりとした味なのにいくらでも食してしまいそうだ…。この油で揚げるという調理法は天麩羅てんぷらにも似ておられるが、これは外側のパン粉という物が油を吸収しつつ、また、全体の衣で肉の旨味を閉じ込めて美味さを逃がさないようにしているんだろう。油を吸収した衣も油っぽいがそれはそれでザワークラウトで洗い流せるというしっかりと食事が出来る様に考えられてる布石だったのか!!


ここから食べ終わるまでに無言で食事をしていたと思う。というか食べた記憶が無い…でも、腹が膨れているという事は食べたんだろうと思う。あまりの美味さにどれも残さずに綺麗に食べ終わったのだ。


【名無しの彼の心の声・終了】


「ふう、どれも美味しかったで御座る」

すると、厨房側のカウンターに居た女の子が近寄ってきた。

「お粗末様です。ウフフ、そんなに美味しかったですか?」

「美味で御座った。拙者はこの様な形式の食事をする機会が無かったで御座る故、どれも新しい発見が有りとても美味しかったで御座る」

満足そうな彼を見て、またまた微笑む女の子は食器を片付けてくれた。

食堂兼酒場を早々に切り上げ、昨晩はあまり眠れなかった為に早めに休む事にした。

そんな晩であった。彼は夢であの綺麗な遊女ような菩薩様と思っている方の夢を見たのだ。


――――――――――――――――――――――


「もし、もし」

長い黒髪を右手で抑え、彼を覗き込むに起こしていた。

彼はフッと目を覚ますとそこは真っ白な世界。なので、彼は安易に夢なんだろうと思う事にした。ただ、目の前には菩薩様と思っていた綺麗な女性が立っていたのでかなり驚いたが菩薩様に御無礼の無い様に平静を装い、正座へと座り直した。

「こりゃこりゃ菩薩様。お久しぶりや。今日はどんな御用でお出になられたか?」

菩薩様と呼ばれた女性は首を軽く傾げて彼に話しをした。

其方そなたは、未だに我を菩薩殿と思うておるのか?」

彼はそれはそれで驚くが御無礼なので続けて平静を装った。

「あれ、違うがやろうか?」

彼女も綺麗に正座して、少し咳払いをしてから続けた。

「菩薩殿では御座らん…では、改めて名を名乗ろう。我は猫神である」


その美しい容姿を持ったお方は『猫神』様と名乗られた。一体この方から何を語られるというのだろうか…。


――――――――――――――――――――――

【~歴史ポイント~】

前書きにもある通り今回は主人公に食べてもらう為に選び抜いた料理がドイツ料理でした!

という事で今回はドイツ料理から歴史ポイントを紐解いていこうと思います。

ドイツ料理は日本人はあまり馴染みが無いからなぁと思ってるかも知れませんが、実はそんな事は無く歴史を見るとこんな所にもドイツが!という部分もあったりします。

『ドイツとジャガイモ』

まず、話しておかないといけないのはジャガイモです!ドイツ料理と言えば数多くあるジャガイモを使った料理ですね、その歴史の中でも新大陸発見後にもたらされたジャガイモはドイツの長い不作にも多大な貢献をした主食でした。寒冷地でも育つジャガイモは厳しい冬があるドイツでは欠かせない存在でヨーロッパ全体で作られる約20%はドイツが生産しているという驚きの数字!

こだわりが強いドイツ人はパンやソーセージ、ビールも独自の文化がある中でジャガイモは50種もの品種を育てており、中にはこだわりが強いせいか品種にこだわる生産者もいるとか!?

実はジャガイモは北部と南部では料理に違いがあり、北部でしかない料理もあるそうです。

※Wikipedia調べ


『ドイツ料理』

ここまででめっちゃこだわりの塊であるドイツ人ですが、実は滅茶苦茶食事に関心が無い人種でもあるんです!ドイツ料理は滅茶苦茶どれでも美味しそうなのに「フランス料理」や「イタリア料理」に比べて「不味い」「美味しくない」と揶揄される事もあるそうですが、事実ドイツ人はあまり食事にこだわらないせいかヨーロッパ内では不人気で、日本でもあまりドイツ料理はブームになる程ではありません。というか、日本人の食生活にこだわりが強すぎるあまりにドイツ料理というのは目で楽しむという習慣の無さも相まってると言えるでしょう…。そこら辺がフランス料理やイタリア料理より流行らないというのもあると思います。また、ドイツ料理は塩っ気が多く本場で食事をするとどうやらしょっぱ過ぎて直ぐに飽きちゃうのもあるみたいです。

日本でドイツ料理は食べてみると意外にも美味しく感じます!但し、小生はザワークラウトは苦手です。日本で出店しているドイツ料理屋さんは恐らく、日本人が食べやすいように味付けを変えてるかも知れませんのでそこら辺は分かりません(笑)

最近は、見た目も良いようで個人ブロガーさんが載せていた「シュニッツェル」や「シュバイネハクセ」は凄く美味しそうで小生も一度は食べてみたいと思いました。


『みんな大好きハンバーグ』

ハンバーグと言えば日本で魔改造された料理の一つだろう。

Wikipedia【ハンバーグ/ハンバーグの原型の俗説より】全文抜粋(参考資料①)では…

「ハンバーグの原型に関しては諸説あるが、俗説として一説にはドイツのハンブルクで名物『タルタルステーキ』を原型とする説やハンブルクの労働者たちが安価な堅い肉をひき肉にして焼いた説が知られている。タルタルステーキはタタール人の生肉料理であり、タタール人は遠征の際、連れて行ったウマを食料にもしていた。長距離を移動するウマの肉は大変硬く筋張っていたため、硬い馬肉を細かく刻むことで食べやすいものに加工していた」

Wikipedia【ハンバーグ/ハンバーグの誕生】より一部抜粋(参考資料②)

「18世紀前半、ドイツ・ハンブルクでは挽肉にパン粉を入れた料理に火を通すようになった。これがハンバーグの起源である」

とされている。なので、現代の様な料理方法になったのは日本は入ってきた後、かさ増しで色々入れた事からフワフワで柔らかいハンバーグになったともあった(Google調べ)

この事から日本人によって魔改造されたハンバーグは小さい子から大人まで多くの人が好きになったドイツ料理の一つとなった。ただ、上記に書いた通り日本人によって魔改造されたハンバーグは小判型の肉団子になっていれば種類関係無くハンバーグと呼ばれるようになった(Wikipediaより参照)。

日本では洋食の一つと言われているが多種多様なハンバーグはある意味では日本食と言っても過言ではない気がしてきた。

今回はWikipediaからの抜粋を多くしました。

あの文字数打つの辛いからというのありますが、小生の頭では理解出来ずにおりましたのでパンクする前に秘儀・コピペで逃げました。

またドイツ料理も奥深く全部紹介するのは無理なので一部に絞りました。今回は料理でしたが、次回は小生でもどうなるか分からないのでお楽しみお待ち下さい。


三ノ回へ続く…。

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