第2話 追放からのテンプレ展開



「お前をこのパーティから追放する。二度と顔を見せんじゃねえ」


「……わかった」



 王都を出発してから2週間後、俺は同じ村出身のあいつを勇者パーティから追放した。

 理由は単純、あいつのことがムカついたからである。


 最初は王様の命令だから仕方なくパーティに入れていた。

 しかし、どこに行っても何をしても褒められるのは『アレク、アレク、アレク、アレク』

 そのせいで俺がパーティのリーダーなのにもかかわらず、民衆からはあいつが勇者パーティのリーダーであるかのように見られていた。


(おかしいだろ!? 俺は勇者だぞ!? なんであんなやつばっかりが褒められて、勇者であるはずの俺があいつの“おまけ”のように扱われるんだ!)


 大人しくしているならパーティに残してやろうと思っていた俺にとって、あいつの存在は邪魔以外の何物でもなく、初めて魔族を倒したことを機に俺はあいつに対してパーティからの追放を言い渡した。



「2人にはもう話したの?」


「いいや、まだだ。でもそれがどうした? 2人に俺に意見するよう頼むか? まあ、2人ともお前がいなくなっても困らないと思うし、むしろ喜ぶんじゃないか? 邪魔な男が消えてくれたってね」



 勇者パーティには俺とあいつの他にも2人のメンバーがいる。

 1人目はセレス。

 クラスは聖女で、回復などの後方支援とアンデット系モンスターの浄化を得意とする。

 2人目はナミア。

 クラスは槍使いで、その名の通り槍を使った攻撃を得意とする。


 この2人は系統は違えど、それぞれがとんでもない美女であり、俺は魔王を倒した暁には2人を側室として娶ろうと考えていた。

 そして、そう言う意味でもあいつは俺にとって邪魔な存在であるといえた。



「そう……だね。わかった。じゃあ僕はこのパーティを出るよ」


「ああ、是非ともそうしてくれ」



 そうしてアレクが部屋から出ていくと、横で裸になって気絶している女の尻を叩き、無理やり目を醒させる。



「おら、さっきの続きをするぞ。こっちは金払ってるんだからしっかり働けよ」


「イヤーーー!」





「私たちもこのパーティを抜けます」



 次の日、あいつをこのパーティから追放したことを伝えるとセレスはそのように言った。



「は? お前何を言ってるか分かっているのか? 俺たちは勇者パーティだぞ!」


「そもそもね! こっちはあんたの女癖の悪さとサボり癖と浪費癖とその高圧的な態度にすでに辟易してるのよ!」


「な、なんだと!?」


「そうです。私たちはアレクさんがいたからこそ、このパーティに残っていました。もはや、アレクさんのいないこのパーティにいる必要はありません」


「お前ら魔王は倒せなくていいのか? 俺が魔王を倒さなかったら、人類なんて簡単に蹂躙されて滅びるぞ!」


「それでも構いません。アレクさんならきっと……いや、絶対に魔王をなんとかしてくれるはずです!」


「そうよ! アレクならなんとかしてくれるはずよ!」


(コイツら頭おかしいんじゃないか!?)


 魔王は勇者しか倒せない。

 それが当たり前でも関わらず、彼女たちは『アレクがなんとかしてくれる!』と言って俺の話を聞こうとしない。

 そこで意地になった俺は……


「じゃあ、好きにしろよ!」


 と言い放った。


 こうして2人も勇者パーティを出ていき、ついに俺は1人になってしまった。


————————————————————

悪役を書くっていうのも案外大変なもんですね……

多分、内容的にあと1話もあれば本編に入れそうです。


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