第8話 成長したスシを握る槍使い
ソウタ「待ちやがれ!」
人魚島ムールビーチの前に広がるエメラルドグリーンに染まるシフード海にて、俺は尾鰭を追っかけていた。
この世界に漂流し、マナさんにオルキス師匠に集落のみんなが優しく俺を向かい入れてくれた。
そこおかげでこの世界に漂流してから一ヶ月が過ぎようとしていた。
そして尚、俺は人魚島に滞在していた。人魚島周辺の海に潜ってのモリ突き漁とギルドから発行されるクエストの報酬で生活を続けている。
ソウタ「っしゃ!ようやっと追いついたぜ、今日の晩飯!」
そして今、俺は漁の真っ最中であった。前方に見えるネズミザメぐらいの全長を持つ大型の海の魔物
ソウタ「この大きさの鮭だ、嘸かし栄養を蓄えて身も肥えてるだろう。そのパンパンに膨れ上がった腹を掻っ捌いて、サーモン尽くしの豪華なスシを握ってやんぜ!」
そう巨大鮭に言い放ち距離を詰める。オルキス師匠に魔法の稽古を付けてもらい、俺が水魔法:
ソウタ「
今の俺は保有技能:水移動で水中での活動で水の抵抗を受けず、なんなら効果で筋力と俊敏が20%上がってる。最初に海で漁をした時には全然追いつかなかった魚たちは、数々のクエストと魔物との戦闘でステータスも上がり追いつけていたが、こいつの速さはレベルが段違いだ。
でも今なら、抵抗無しの水のジェットで超加速してる!
モリで一突きッ!
そして
今晩はこいつでの酒盛りになるかな?酒飲めないけど。
海から上がってサーモンを引き上げ集落に戻り、漁の邪魔をしてきた魔物の素材をギルドで買い取ってもらう。
この世界に来て一ヶ月であったが、オルキス師匠と数々のギルドによるクエストにより、俺自身成長していた。対人戦はまだやったことないが、弱点がある魔物に対してはピカイチの戦闘センスを持っているみたいだった。
ギルド受付嬢「えーっと……
ソウタ「そんなにですか!?」
ギルド受付嬢「はい、ミニクラーケンは滅多に近海には現れず、状態も良かったので。」
ソウタ「ありがとうございます!」
ラッキー、いつも10000Gくらいだったから結構儲かったな。土地代とかの元いた世界のお金の面倒事ははこの島には無いからこの額でも十分暮らせるぞ!
今日は奮発して油買って揚げ物にでもするかな、米と酢を買って寿司にするのもいいな。
この世界には日本から来ている異世界人も一定数いて、たまに人魚島にも日本製品の調味料とか食材が流れてくるが、これがバカ高いのである。
結局俺は米と酢を買って合計30000G。出費が痛いが3万で魚丸々1匹の寿司が食えるならまだ安い方か?
集落の海辺に近いところに建てた即席の家に帰る道中マナさんに会った。
ソウタ「マナさん、おひさー。」
マナ「ソウタさん、お久しぶりです。」
マナさんは一週間ほど前に人魚の国に用事があって出掛けていたのだ、内容はよく知らないが、長旅で疲れついるご様子であった。
ソウタ「これから晩飯にする予定だけど、うち来るか?」
マナ「いいんですか!私今お腹ぺこぺこで。」
かわいい、まじかわいい。今日奮発してよかった、今日でマナさんの胃袋を鷲掴みにして、その後ゆくゆくは…と妄想を膨らませる。
マナ「お師匠も呼びましょうよ!私師匠ともまだお話できてないし、ソウタさんからの日頃の感謝ってことで!」
目をキラキラさせながら、こちらを見る。
断るわけにはいかないよなぁ…………
そしてマナさんとお師匠と俺で寿司パーティーを開くことになった。
家に帰り寿司の準備を始める。
まず
ソウタ「今日はオルキス師匠に日頃の稽古の感謝とマナさんのご帰宅祝い?で
2人「すし?」
ソウタ「まぁ、食ってみなさいや。」
俺は酢飯と一口大に切った
ソウタ「へいお待ち!」
2人はおもむろに寿司を一貫取り、口にする。
2人「うーまぁーい!」
マナ「何ですかこれ⁈すごく美味しいです!」
オルキスは「うん、うん」と舌鼓を打っている。
どちらにしろ二人とも笑顔で食べている。何だか照れる。
ソウタ「美味しそうでなにより、じゃあ俺も。」
寿司を口に入れた途端トロッと口の中でサーモンが溶けて美味い!!ジュースを交わしつつ談笑する。
オルキス「お前がこの世界に来てからもう一ヶ月か、それにしても、
ソウタ「師匠のおかげですよ、俺みたいなやつが師匠みたいなスゲェ人に教えてもらえてるからです。」
「オルキス、それ我も食いたいぞ。」
オルキス「ちょっと待って、今変わるから。」
と師匠が席を立ち外に出ると、師匠の身体が赤い炎で包まれ、その中から一人出てくる。
ボン、キュッ、ボンで褐色肌、髪は金色に染まり、炎の如く赤色ローブを身に纏う一人の女性が現れる。
「久しぶりにこの姿になったな、何年ぶりだろう。」
ソウタ「し…師匠……ですか…?」
「そういえばお前にこの姿を見せたのは初めてだったっけな。わたしだ、オルキスだ。」
わぁすっごい。ロリババアから美魔女に
オルキス?「おっ?!これか!オルキスが美味いと絶賛していたのは!どれどれ、一つ味見を……」
オルキスらしき女性?が寿司を手に取りパクッと頬張る。
オルキス?『美味いぞ!中々やるではないかソウタとやら!おかわりだ!』
やっぱり、なんか禍々しい何かを感じるんだよなこの人?まさかとは思うがとんでもない人だったりして。
オルキス?『ん?聞こえんかったか?我、魔王ラヴァルの言うことが聞こえんのか?』
ソウタ「師匠、あの炎魔王ラヴァルだったんですか!?」
オルキス「私じゃないが、元魔王だな。」
ラヴァル『元は何だ!元とは!』
オルキス「元だろ!娘さんに継がせたんじゃないのか?」
ラヴァル『そうだったな、うっかりしておった。』
師匠が一人で喋っているように聞こえるが、しっかりとラヴァルさんの声と区別できる。
一通り寿司を食べた後、ラヴァルさんが思い出したかのように言う。
ラヴァル『オルキスよ、弟子たちに何か言うことがあったんじゃなかったか?』
オルキス「そうだったな…お前たち、パーティに行かないか?」
2人「パーティ⁈」
オルキス「ああ、再来週にデトリア王国で世界中のありとあらゆる強者や、国が参加する。ある一つの共通の課題を解決するために。」
ソウタ「ある課題?」
オルキス「厄災の復活だ。」
ソウタ「何で今更厄災が?」
オルキス「デトリアの研究結果によれば、厄災の残留思念の魔力量が上がって、魔物たちの動きが活発になっている。更に残留思念に侵された変異種や残留思念そのものが実体化して様々な事件が起きている。この現象は厄災復活の前兆であるわかったらしい。」
マナ「でも何でパーティを?それに私たちが行く意味も…」
オルキス「パーティはただの余興だ、それにこれには付き添い人が2人まで行くことができる、各国のお偉いさんが来るんだ、護衛は必要だろ?本題であろう厄災関係はたぶんパーティの後になるだろうし。」
ソウタ「師匠は強者として呼ばれたんですか?」
オルキス「まあ、そうだな。この格好も普段は見せないし、知ってるやつもお前たちぐらいだからな。」
マナ「強者というと誰が来るんですか?」
オルキス「まず、
フウトにナデシコ、たぶん名前的に異世界人、更にでいえば日本人の可能性もあるな、会ってみてえなあ。
オルキス「後、噂だが帝国からも皇帝陛下直々に来られるらしい。」
ソウタ「皇帝?」
マナ「東の大陸のほとんどを治める、大っきい国だよ。少なくとも500年以上の歴史があるの。」
帝国かあ、こういう異世界的な帝国は悪いイメージしかないけど、この世界はどうなんだろうな。
その後、マナさんたちが帰り、片付けをし、寝床についた。師匠から出発はパーティの3日前とカードで連絡が来た。デトリア王国たのしみだなあ。
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