第2話・阿修羅
「さぁ着いたよ!」
シノハナは嬉しそうに言うがスキトは浮かない表情をしている。なぜなら周りからの刺すような視線が痛いからだ。
「皆!この子は今日から入る新入りのスキト君だよ!仲良くしてあげてね!」
シノハナがそう言うも仲良くする気などなさそうな人ばかりだ。少しビビっていると1人の女の子に話を掛けられた。
「シノハナさんに迷惑掛けるなよ……」
そう言われイラッとするスキト。その間に入る様に誰かが口を挟む。
「まぁまぁナツメ……今日入ったばっかなんだからさ?仲良くしよ?」
「……ふん…わかったよ……ただフユキ……お人好しは良くないぞ…」
そう言われて少し反応に困っているフユキ。すると大きな声で誰かが喋りはじめた。
「全員静かに!!今から定期会を始める!!」
そう言うと今までのが嘘のように静まり返った。
「明後日俺達は敵対している暴走族『皇王』と争う事になる!だから今日と明日しっかり備えておけ!」
「はい!!」
そう答える全員に混じって答えるスキト。うまく馴染んでいるのを見てシノハナは少し安心した。
定期会が終わってからスキトはその後シノハナに誘われ定期会の後に行われる『幹部会』に参加させられた。幹部会と聞き緊張しているとシノハナが笑いながら言う。
「さっき大声で話してた人かっこよかったでしょ?あの人は副総長のコトブキだよ!」
そう自分の事では無いのに誇らしげに言うシノハナを見てスキトは何故か微笑ましい気持ちになる。
「……はい!かっこよかったです!」
そう答えるとシノハナは嬉しそうに笑っていた。
そうして話をしている内にいつもの幹部会の会場として使っている幹部の1人、ハヅキの実家のお好み焼き屋へ着いた。
他の幹部たちは先にお好み焼き屋へ着いていた。
「シノハナ?その子も連れて来たんだ!」
さっきとは全然イメージの違うコトブキ。怖い印象から優しい印象に変わっていた。
「はじめまして!コトブキです!話は聞いてますよスキト君!今日から頑張ってください!」
「はい!頑張ります!!」
スキトとコトブキが話しているとハヅキが店から顔を出す。
「お〜い!早く入ってきなよ!」
そう言われシノハナは急いで中に入る。全員席に座った所でシノハナが話を始める。
「しばらくの間スキト君はフユキ君にお願いするね!」
そう言われ快く引き受けるフユキ。
「はい!お任せください!」
スキトは少し不満に思いながらも本音は不安だったので大人しくいうことを聞く事にした。
「シノハナさん♡私に食べかけのお好み焼きください♡」
そう言いながらシノハナにべったりくっつく女の子。
「えぇ〜…それは汚いから私がライカちゃんの焼いてあげるよ!」
あっさり断られ不満気味のライカ。そんなライカをコトブキが慰める。それを見ていると隣のフユキに話を掛けられる。
「少し変な奴ばっかだからね…特にライカとヤヅキには気を付けてね…とにかく困った事があったらすぐに俺に言ってよ」
「はい……」
そう言いながら2人はシノハナ達が楽しそうにお好み焼きを焼いているのを見ていた。
「コハル!焼けたぞ!これはコハルのだから食べてくれ!」
「ありがとうお兄ちゃん!」
コハルがヤヅキに焼いてもらったお好み焼きをお皿に移そうとしたとき……ぶ〜〜ん…1匹のハエがお好み焼きに止まる。
「あっ…」
少し悲しそうにするコハルを見てヤヅキはハエを叩き潰し粉々になるまで叩き続けた。
「コハル少し待ってろ!すぐ新しいの作るから!」
そう言ってくれて喜ぶコハル。それを見ながらフユキはスキトに言う。
「……あのハエみたいになりたくなければコハル君に怪我させちゃ駄目だよ……」
「はい……」
色々あったがまともな会議等はなくただグタグタして幹部会は終了した。
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