文化祭当日 ーお化け屋敷(2)ー

あれから、20分ほど経ってやっと順番が回ってきた。


「次の方どうぞ。この、お化け屋敷は3つのぬいぐるみを獲得して、出口に出ることg目的です。ギブしたくなりましたら、『閉ざされ、閉ざされ』と叫んでください。お化けの動きが止まります。では、迷宮の屋敷へ」


ドアを開ければ、まあお化け屋敷感満載の薄暗い教室。ダンボールで指揮を作っているらしい。


「ぬいぐるみを探したらええやろ?」


「そうだな。探すといえど、あれら中のどれかだろ」


誠也が指をさしているあたりに、宝箱がある。

まあ、ここは宝探しじゃないんだからそういうもんだろう。


「にしても、結構、大っきなぬいぐるみやしいな」


「そうだね。キーホルダーとかぐらいの大きさかと思ってた」


「それなら、見つけづらいだろ」


「そうだね。で、誰が開ける?」


「一人、一つ開けるとか、どうや?」


「賛成」


「了解。じゃあ、俺はこれで」


「んー。じゃ、これで」


「残り物には福があるからな、これや」


「3、2、1」


カチャ ガタン 


「わあ!」


「当たりや」


「ハズレだよ。で、誠也何があったの?」


「早速、怖がりやがって」


「驚いてねぇよ」


「ふーん、ただの生首やないか」


山口がのぞいたらしい。


「ぬいぐるみとか、ついてない?」


「宝探しじゃないんやから。それに、これ人間ぽいで。穴でも開けて、つっこんでるんやろ」


「ふーん、あと、ここにはないぽい?」


「そうだな」


「じゃ、先行こか」


「ん」


ダンボールの道を歩く。


ピタ


「ッ! こんにゃく?」


「こんにゃくやで。てか、肩跳ねてたで」


後ろにいる、山口がいう。


「驚いただけ」


霊とかそれに、今更怖いも何もないけど、驚きはする。

実際、危害が加えられるぐらい強い者は視えるから、何もない状態で何かが起こるのはびっくりする。


「あー。分かれ道」


「じゃ、天音は俺とだな。昂は右いけ」


「まあ、ええけど。情けない姿見せへんのやでー」


「見せるか!」


そして、左に出る。


「あるね」


「ああ」


出た場所にはロッカーがあり、そこの前に椅子があり。そこに、座っている。


「あんだけ、怖がらないって言ってたし、誠也取れば?」


「ああ。別に平気だし」


ガチャ


「恨めしやー!」


「あ」


ドテ


「・・・。うーん、宣言してたのに。大丈夫、誠也?」


綺麗なフラグ回収とはこれのことかと思いながら倒れた、誠也に手を出す。


「つ。つまずいただけだ」


「はい。はい。よいしょっと。まあ、ここにはもうないだろうね。多分、昂の方にも1個あるんだろうね。じゃ、行こっか」


「あ。ああ」


「じゃあね、幽霊さん」


また、ダンボールの道を進む。


パン


ん?拍手?

山口か? まじで、いたんだ。でも、感じないし、強くはないんだろうけど。


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