予行練習

文化祭が近づいてきて、舞台で練習させられることが増えた。

そして、嫉妬が増加した。

いや、なぜ?


山口が言うには上手すぎるという。

いや、まあ、いつものことをしているから、下手にするのも難しい。

なので、前回は適当にやった。そしたら、それはそれで悪口のオンパレード。

まあ、明らかに適当にやっていますっていう感じだったし、しょうがないかもしれないが。


はー。

今回は、どうするか。どうせ、ああなるなら、ちゃっかりやって先生にアピールしてもいいと思う。何回か、拍手を打てばどうにかなる程度だし。


「遅いね! さっさと、並んだら? それとも、リハになって緊張しちゃったのー?」


「別に」



「ほんと、つれないよねー? 空気とかわからないわけ? まあ、空気が読めたら、誠也君とかに迷惑かけてないかw w」


・・・。

まあ、いつも通りである。

無視して、下手の方に移動する。






ふー。終わった。

適当に、拍手をしてはらす。


「土御門、来い」


「どうしましたか、先生?」


終わって、服を着替えてこようと思ったら、先生に呼び止められた。


「西本が言ってたんだが、お前、浅川の衣装破ったのか?」


「? どういうことですか?」


「浅川の後半の衣装が破られていたらしくな。西本が、証言している」


「私、ほぼ舞台上にいましたよ?」


「そうだが。山口と浅川のシーンは、はけてるだろ」


「そうですが。何もやってません」


はー。何をしようとして要るかは、分かった。刀キャーとか同じことだろう。


何してくれてるの?

今まで、そこまで困るものではないし、無視していたけど。

ここまで、来るとめんどくさい。


大学で指定校を取るためにも、成績はもちろん、先生への媚も必要なのに。


「まあ、そうだよな。用は済んだ。着替えてきなさい」


「はい」


まあ、指定校を取るための努力がここで生きてくるとは。

にしても、少し考えるか。死神にでも驚かせるか?

適当に、家に怪奇現象を起こしてもらうとか。

うん。いい案。帰ったら、お願いしとこう。

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