冗談(1)

2階の、右奥の部屋。

階段を駆け上がって、扉を開けて、塩を投げる。


「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前・成」


相手もこっちに来る。攻撃する気だろう。

タイミングをみて、


パン


相手の攻撃を拍手で、攻撃を削る。

形代でちゃんと受けられたみたい。


カバンから、封印の力を込めた石を取り出して、速攻で怨霊に突っ込む。


「青龍・白虎・朱雀・玄武・勾陳・帝台・文王・三台・玉女、眠りつけ!」


(うううううううう!!!)


やっば、思ったより攻撃されている。

形代、耐え切れるか?


「神よ、神よ。お連れされ〜」


バチ、バチ


周りが燃えてる?

奏か。

奏の炎で怨霊の攻撃が相殺されている。


「永遠よと〜。終わりの果てで、お眠りください!」


消えた?

逃げてはない。


「ゲホ、ゲホ」


封印した、石に塩をかけて、縄で縛る。


ダッダダ


「大丈夫か?」


「なんとかね。援護、感謝しますわ」


「口調を戻していいやろ。無理すんなって、家まで送るわ」


「平気よ」


下手に親に見られるのはまずい。


「じゃあね。ちゃんと、約束守ってくださいよ」


早く帰ろう。


「待てや。絶対、倒れるで?」


「大丈夫でッ!」


痛い。


「おい!そないに、見つかりたくないのか?」


「当たり前でしょ」


「分かった。京内に行くからな」


「は?」


「あそこなら、祠近くで休んでたって言ったらええやろ」


「・・。一様、敵なのよ?」


「はー。祓は、嫌なんだろ? あそこ」


「なんのことよ?」


頭の痛みに構わず、睨む。


「そんな睨まんとって。祓は正しいで。あっこはおかしい。

なあ、俺と駆け落ちしいひん? 俺のところに入れたる」


「何言っているわけ? 冗談は厳しいって」


「焦ってるってことは、少しは脈あんの?  はっはは。まじで、焦ってるんやん。てか、まじで頭回ってへんがな。諦めて、京内行くでー」


・・・。

いや、さっきのマジな目だったよね?

温度差についていけないんだけど。


「いい」


「はぁ? 絶対熱と、さっきのでしんどいやだろ? 親神様だって、喜びはる」


それとも、山口の言うとおり、熱でおかしいのか?

そうだよね。うん。そうに決まっている。

ってことは、今めっちゃ恥ずかしいことになってない? 冗談に反応しているって。


「顔が百面相してはるでー。行くぞー」


「はー。分かりましたよ。朝には帰りますわよ」


そう言って、空き家から出て神社に向かう。


「学校が始まってから、帰り」


「なんで?」


「いや。うーん? まあ、それが祓のええ所やし? まあ、ええやだろ?」


「理由教えてよ」


「いやや」


いや、気になるんだよ。

何度聞いても、無駄だったので諦めた。

その後は無言で神社に向かった。

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