共闘(2)

「まあ、ただの風邪ですね。薬を処方しとくので」


「分かりました」


はー。結局、あれから寝てみたが、症状は酷くなった。

自然治癒は無理だと思い、病院に行ってみたら、やはり風邪だった。


薬局で薬を貰い家に帰る。

適当に、8秒チャージで薬を飲み込む。


今夜のために、道具を作るか。

少なくとも、形代はいる。

できれば、式神も欲しい。ただ、そこまで力を使えるほど体調も良くない。

後回しだろう。



ピンポーン


作業は一旦終わろう。

誠也だろうか?


インターホンを見る。山口だ。


「何?」


『大丈夫かと? 昨日のせいやろ? 今日はやめて、延期せぇへんか?』


「平気ですわよ。誠也は?」


『部活に行っとるで』


「なら、こちらも返さないといけませんもの」


心配してくれているのはありがたいけど、しょうがない。

もし、私達の長がこれに気づいて、誠也に憑ける実験を言い出したら、困る。


さっさと、作業に戻ろう。

もうそろ、かっぱを呼び出すか。



夜だ。そろそろ、行こう。


「行きますわよ」


ちゃんと荷物を全部入れたことを確認して、神社に向かう。



少し早っかった?

ちょっと、休憩がてら、座って待つか。

おじきをして、潜って、ベンチに座る。


ヒュー、フー


「相変わらずいい音ですね」


やっぱり、笛の音はいい。


「祓?」


「こんばんわ、奏さん」


「こんばんわ。大丈夫なんかい?」


「平気ですわよ。では、行きましょう。場所の心あたりは?」


「誠也の近くの空き家やで。煙で閉じ込めておる」


また、あそこか。

本当に、強いもので見逃したら、あそこに行くといい。

大抵いる。




「援護は任せましたわよ。河童は予定通り」


とにかく、前回みたいに逃げ出さないようにする。

これがもっとも、大切。周りは奏の煙で、河童で水回り。


「よし」


意識を強く持つ、体の中、心臓。

そこにある力を感じる。

こっちは体調悪いからね、最初から全力でさっさと片付けさせてもらうよ。

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