速攻返却

もう夜。

行かないと・・。

視界の端が滲んでる気がするけど、しょうがない。

常備薬を飲んで、仕事用の羽織を纏う。


「小夜吉、行くわよ」


お願いだから、強力な霊、動かずじっとしといて。

見つけながら、無視するのは嫌だ。


しばらく、夜道を歩いてると、人影が見える。

山口か。絡まれると嫌なので、道を変えようと思ったが。


走ってきてる。

ついでに、その少し離れたところに、何かいる。


「最悪すぎる」


吹き矢を取り出して札をつける。


「散れ。小夜吉、食べていいわよ。奏、これで借りは返したわよ」


「祓かいな。また、速攻で返されたのかよ。てか、体調は大丈夫なん?」


「心配は入りませんよ。そう言いながら、めっちゃ満足そうですわよ?

にしても、奏が何故夜に?」


山口の仕事用の名前を呼ぶ。


奏は夜に仕事をすることは少ない。昼とかに、神に祈りを捧げたりとかだ。


「感じへんのか?」


「こっちは霊視とかが専門ではないうえでしてね」


「せやけど、こんぐらいなら、祓も感じると思うんやけどな」


こっちは、体調最悪なんだよっと思いながら、苦笑いを返す。


「ふーん? けど、奏が出てくるってことは、よっぽど面倒くさいということよね?」


「あったりまえやだろ。俺は、朝方の健康児なんやぞ」


「そうよね」


どうしようか?

仕事的には協力して、大元を探すなりするべきだろう。

ただ、体調適期にはとてもお断りしたい。


「手伝いますわ。ほっといたら、余計めんどくさそうですし。実際、さっきの追い返せてありませんでしたし」


ただ、ほっといたら困る。


「ありゃあ、ちょいっとヘタこいただけや」


「奏はそういうミスを失くせばいいと思いますわよ。で、どこに集合しているのでして?」


「ちょっと待ってや。○▷⬜︎○▷⬜︎○▷⬜︎〜」


唱えると、空中に矢印が浮かぶ。


「こっちや」


念を合わせて、集合させたのだろうか?


ついていくと、廃墟についた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る